猫耳・狐耳ルルNOVEL
□恋狐四
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このお話は、ナチュラルにルルたんが狐なので、ご注意ください;
「ごめん、ルル!遅刻しそうだからもう行くよ!」
「ああ、いってらっしゃい」
「いってきます!」
スザクは朝ご飯をかきこみ、食べ終わると慌てた様子でご飯茶碗をちゃぶ台に置いて、傍に置いてあった学生鞄を抱え上げる。
そうして、自慢の健脚で廊下を走りぬけ、大きな音を立てて玄関の戸を開けて出ていった。
昨日、スザクは夜遅くまで宿題に追われて寝るのが遅くなってしまい、朝が来て起きる時間になって俺がどんなに起こそうとしても起きてくれず、結局遅刻すれすれまで寝ていて、今の状態だ。
俺はやれやれと苦笑を浮かべながら、ちゃぶ台にある茶碗などを重ねて片づけていく。
俺はがちゃがちゃと音をたてて重ねられた食器を抱えて、台所まで持っていく。
ご飯粒の残りかすなどがついた茶碗は水につけて少しふやかしておいて、ご飯を炊くのに使った鍋も(うちには電子ジャーもあるが、ご飯は鍋で炊いた方が美味しいと思うんだ)その間に味噌汁のお椀を洗って、玉子焼きを乗せていた皿を洗う。
その他にもがちゃがちゃと洗って、ふやかしておいたご飯茶碗と鍋も洗い終わると、ほっと一息つく。
着ていた割烹着を脱ぎ、お茶でも飲もうとポッドに目を向けようとして、その傍にある電子ジャーが置いてある台が目に入る。
「あっ!」
電子ジャーの横には、いつもスザクに渡している包みがある。
それは、彼にいつも渡すお弁当箱が入っている包みだった。
薄桃色に染められた白い桜の花びらが散らしたような感じの柄の包みだ。
「しまった!!」
今日は朝が慌しかったから、うっかり渡し忘れていた!
「届けないと…」
幸い、スザクの学校までの道順はわかる。
あ…でも、俺の今の私服だと、部外者として追い出されてしまうだろうか。
今の俺は薄紫の生地に小さな花が散らされているおとなしめな柄の着物を着ていて、どこからどう見ても、あの学校の生徒には見えない。
とりあえず同じ学生に見えるようにしよう、とスザクの部屋の押入れを見る事にした。
押入れに収納してある服を何枚か出してみたが、普通の服ばかりで学校の制服のような服はない。
困った…これだと俺は部外者にしかなりえない。
それでも諦めきれずにもう少し探してみると、クリーム色の上着と黒いミニスカート、緑色のネクタイが二着分出てくる。
「これって確か…あいつの学校の女子制服だよな…」
確か男女逆転祭り…だったか?
前にも俺がこの制服を見つけて、確か男女逆転祭りとか言うので、使ったとか何とか言ってたような…。
一着はスザクの体の大きさサイズで、もう一着は女子が着るMサイズ。
学校の生徒会長がミレイで、確か女子サイズのは余ったからあげるとか言われて渡されて、捨てるのも何だからってスザクは捨てられなかったんだよな…あいつらしい。
まあ、良いか、しょうがない、取り合えずこれを着るか。
この制服でも背に腹はかえられない!
毎回巫女の服を着ているし、この制服は女子用だけど、中身が男だったらちゃんと俺は男なんだから、腹をくくって着てしまおう。
これもスザクのためだ!
で、でも、本当は学校にいるスザクが何をしているのか…なんてそういうことも考えていたりなんか…し、してないからな…。
スザクに純粋に弁当と届けたいからだ!
スザクサイズの制服を着るか、女子のMサイズの制服を着るかで悩んで、結局女子のMサイズの制服を着ることにした。
変装するなら、いつもの俺よりも小さくした方が良いかと思い、身長をいつもより小さい155センチくらいの姿に変化して、Mサイズを着てみた。
それでもウエストの部分とか肩幅の部分が大きすぎたから、そこをぱっと仕立て直して身に着けて、鏡の前に立ってみる。
くるんと回って、おかしいところがないか確認。
うん、大丈夫だ。
でも、女に見えても結局服の中身は男でいたりするんだけれど。
別に女に変身しても良いけど、別に普段の俺の容姿でも女子に見えるんだから、別に女でなくても良いだろう。
後は、確かスザクのおじいさんの度なしの眼鏡があったよな…何でもおじいさんは面白いことが好きだから、度なし眼鏡を買って遊んでいたらしい。
それを借りてつけて、ええとあとは…何か靴下、靴下…。