NOVEL2

□苦労症彼氏
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俺の恋人ははっきり言って、変だ。
先日、クラスで席替えがあった。
席替えはくじびきですることになり、くじの結果は今までよりもスザクと俺の席が離れた。
そこをスザクは俺の隣りの席になるやつを脅して(スザク曰く、穏便に説得したらしいが相手の震え上がりを見るとそうは思えない)隣りになってきた。
そこまでは好きな人の隣りにいたいと言う恋心だから嬉しいし、構わない。
……だが…どうしていつもスザクは、授業中も授業に集中することなく、俺の尻を触ってくるのだろうか…。
スザクは授業が大事だと言って、さぼろうとする俺にうるさいが、お前だって授業を冒涜している!
…しかも、尻を近くで触れるようになったためか、スザクの授業の出席率も上がった気がする。
軍の仕事より俺を優先してくれるのは素直に嬉しいが、尻が理由なんて微妙過ぎる。
そして、今も授業中だが、隣りのスザクの手は止まることなく俺の尻を撫でている。
いや、撫でるまでは良い。
スザクは日本人と言う立場から、普段からストレスのたまりやすい状況だから、こいつも恋人に触れて癒されたい欲求や、忙しくてなかなか一緒にゆっくりと出来ないからこうして少しの時間でも触れていたいのかもしれない。
一番後ろの席だから、尻に触られても余り目立たないから、撫でるくらいに触るまでなら良い。
だが尻を揉んだり、なおかつ、スラックスの中に手を入れて直に触れてくるのは止めてもらえないだろうか。
そんなことを考えていると、いつも通りに俺のベルトを片手で外しながら、もう片方の手でスラックスの中に手を入れてくる。
「お、おい、スザクっ」
小声で咎めるように、少しきつめな感じで名前を呼ぶが、当のスザクは楽しそうに、にこにこ微笑むだけで止まらない。
「君のお尻の触り心地が良いから触りたくなるんだよ」
スラックスの中に入った手は、尻を軽く撫でているだけでは足りないのか、嫌なことにどんどん下に潜っていく。
直に触れるにしても、軽く撫でるくらいにしてくれ…。
俺が泣きそうになって、それでも抵抗しようと身体を少し揺らしてもスザクの手は止まらない。
尻を揉みしだき、撫で、尻のラインを楽しむように指を這わせる。
始めは抵抗していても、こんなことをされたら段々と身体がほててって甘い声が出そうになる。
唇を噛み締めて声が出ないように堪えていたが、それは俺のすっ頓狂な声で終わった。
「ほわぁぁぁ」
ゆゆゆゆゆゆ、指が指が俺の中に!
しかも変な声を上げたものだから、クラス中のみんなが俺に視線を送っている。
し、しかも、スザクの指の動きは止まらない…!
また声を出さないように唇を噛み締めるだけで俺は何も出来ないため、隣りのスザクに涙目で必死に何とかしろと視線で訴えるしか出来ない。
「ルルーシュってば、虫を見て驚いて声を上げたみたい。可愛いよね」
スザクがにこにこ微笑みながら言うと、虫くらいでとみんなも呆れた顔をして授業に戻る。
声を出してしまったのは俺のせいじゃない。
虫くらいで誰が声を出すか!
それに、スザクもみんなに言うのに、可愛いとかまで言うのは余計だ!
理不尽過ぎて、俺は涙目どころか泣きたくなって目頭が熱い。
どうしてこんな変なやつが俺は好きなんだ…。
「ルルーシュ、可愛い」
スザクはまだ懲りずに尻を触り続け、頬にくちづけまでしてくる始末。
俺はこれ以上悪目立ちしないように、理不尽過ぎることに堪えるしかなかった。



それからスザクは軍の仕事で休み、数日後の学校での昼休み、久し振りにスザクが学園顔を出した。
軍の仕事で忙しく来れないと言っていたが、時間が出来たんだろうか。
いつも通りスザクは教室に入ってくると笑顔で俺に手を振ってくれたが、いつもと違っていることもあった。
片腕を折ったらしく、体力馬鹿のスザクがギブスと包帯でぐるぐる巻きになった姿だったからだ。
俺はスザクの様子に血の気が引いてフラフラしながらも、何とかスザクに駆け寄った。
「おま、おま、お前…」
動揺しすぎて声まで裏返ってどもってしまう。
足ががくがく震えて、その場にぺたんと座り込んでしまった。
これはきっと…軍での怪我だ…。
「落ち着いて。骨折くらいだから大したことないよ。本当はまだ仕事だったけど、僕が骨折したから上司の人が今日はおやすみにしてくれたんだ。だから君に会いたくてきたんだよ。迷惑だった?」
スザクは俺の隣りに腰を下ろすと、しゃがんだ時に腕に痛みが走ったのかスザクの顔が少ししかめる。
それが痛々しくて、ぎゅうっと心臓を掴まれたように胸が痛くなる。
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