NOVEL2

□まるかぶりロール
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節分の豆の準備も終わり、恵方巻きの下ごしらえでもしようとしていると、台所にいた俺のところにスザクがひょっこりと顔を出した。
無邪気な顔でにこにこ寄ってきて、まるで構って欲しいと言うように俺の腰に腕を回すと肩に顎を擦り付けてくる。
俺の恋人は犬のように人懐く、俺に頻繁に甘えてくるのだから仕方ない。
俺から素直に甘えることが出来ないから、こうして相手から甘えてくれるのはとても有難い。
だって、ベタベタしたいと思っても、俺から出来るわけがないじゃないか。

「ルルーシュ、恵方巻きって知ってる?」

「恵方巻きか…。安心しろ。豆の後にちゃんと用意してやる。俺が知らないと思うのか?恵方巻きと言えば、節分の夜にその年の恵方、つまり歳徳神の在する方位に向かって目を閉じて一言も喋らず、願い事を思い浮かべながら太巻きをまるかじりするのが習わしになっているものだな。恵方巻の起源はいくつもの」

「あ、そこまで長い説明は良いから!」

「おい、自分から聞いておいて失礼なやつだな…まだ説明は途中なんだぞ」

「ごめん、ごめん、でも知ってるなら早いね」

スザクは俺の体を反転させて体を向き合わせると、その場にしゃがみこむ。
一体何をしたいんだ?

「今年の恵方ってあっちなんだって」

スザクは今年の恵方になる方向を指差して俺に説明するが、もうとっくに調べてあるから俺は知っているに決まっている。
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