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□純情可憐狂想曲〜second season〜
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 そんなこんなであっと言う間に夏休みだ。
 夏休みの宿題をしたくないと言うスザクを捕まえて、七月中はずっと俺の部屋かスザクの部屋で宿題をしていた。
 そうして、七月最後の日に、すべてを終わらせて、俺は教えるのにぐったりして、俺の部屋のちゃぶ台に宿題のノートを散乱させたままつっぷしていた。
 スザクは、麦茶を淹れに台所へといっている。
 それにしても、教えるだけでこんなにぐったりし過ぎるはずもないから、まあスキンシップされて…恋人同士だから良いんだけれど…スザクにキスをされるのは嫌じゃないし…。
 恋人になる前は親友としてのスキンシップだと思って悲しかったけれど、恋人になった今では堂々と恋人のキスだと言えるから、とても嬉しい。
 机につっぷしたまま、そっと唇に指を乗せる。
 まだキスをした感覚が残っていて、唇が濡れている。
 ああ、本当にキスをしたんだ、と思い出して、頬が赤くなると共に、胸の奥が幸せでキュンとなった。
 両思いになって、本当に俺はスザクとこうして恋人同士でいるんだな…。
 くすっと自然と笑みが浮かんできて、幸福感でくすくすとそのまま笑っていれば、ひょいっとスザクが突然覗きこむ。
 「す、スザク…!」
 にこりと微笑んだスザクに真正面から見つめられて、俺はぴしっと固まった。
 だって、そうだろう、好きな相手にこんなにやけ顔を見られてしまっては。
 スザクのやつ、いつの間に戻ってきたんだ!?
 部屋の障子もきちんと締まっているし、入ってきた気配もなかったのに…これが武道をやっている人間の身のこなしってやつか!?
 慌てて顔を引き締めて起き上がれば、可愛かったのに、とスザクが不服そうな声で言葉を零しながら、麦茶の入ったコップをちゃぶ台の上に置いた。
 可愛かったって、可愛かったって…!
 「せっかく可愛い顔で笑ってくれてたのに、どうして俺が来たら笑うの止めるんだよ」
 スザクがわざとらしく拗ねた様子で、唇を尖らせる。
 そ、そんなこと言われても、あんなにやけた顔が可愛いはずないだろ…。
 「あんなにやけた顔を見せるような醜態をお前に見せれるはずないだろ…」
 顔がさらに赤くなっていくのを感じて、照れ隠しも込めて、ぷいっと顔を背ければ、横から俺の頬にちゅっと唇が触れる感触。
 こ、こいつは…どうしてそうやって恥ずかしい行動を素で出来るんだ!
 恥ずかしいから絶対にスザクの方なんて向いてやるか!
 「ほら、そんな風にそっぽ向いてないで、こっちを向けよ」
 スザクに腰を持たれたかと思うと、軽々と持ち上げられて、彼の膝の上へと横抱きにされる。
 そうしたら、顔が間近になってしまうのは当たり前で、背けようとしたって、そんなの無駄になってしまった。
 俺が逃げられないように片手で腰を掴まれて、顎を掴まれてじっと見つめられる。
 そ、そんなに見つめないでほしい…ああ、もう、嫌と言うほど大きな音で胸がドキドキと動き出すから、スザクにばれそうになってしまうだろう。
 いや、恋人なんだから、それくらい知られたって良いし、スザクだってそういうことを知ったらきっと喜んでくれるだろうけれど…でも、なあ…やっぱり恥ずかしいだろう、こんなこと。
 「やっ、な、何を急に…」
 スザクのやつが、急に俺の顔に触れていた手を腹部に当てると、シャツのボタンを少しずつ緩めていく。
 一体何をしたいんだろう?、と手元をそのままぼんやり見ていると、シャツの裾を縫って中へと手を入れてきた。
 「馬鹿、スザク!何するんだ!」
 じたばたと体全体を使って逃げようとするけれど、がっちり腰を掴まれ、さらにスザクの馬鹿力の前に勝てるわけがない。
 そのまま胸へと手が上がっていくと、その上をやわやわと揉むように、おかしな手つきで触れてきた。
 「やっぱりルルーシュって俺にドキドキしてる。可愛いな」
 そうして、胸の突起にまで伸ばされた指は、軽くつねって、かりかりと爪でひっかく。 「やっだっ」
 体の奥からぞわぞわとした不思議な感覚に、息が乱れてきて、体がしびれる。
 体が跳ねて、震えて、足がずりずりと畳みの上を仰け反る。
 昔はスザクに触れられる事はただくすぐったいだけだったのに、いつの間にかこういった不思議な感覚が生まれてくるようになった。
 段々と体の体温が上がってくると、息が乱れてくる。
 火照って力の抜ける体を叱咤して、俺はシャツの前を合わせて、スザクにこれ以上の行動をさせないようにするけれど、彼の手の動きは止まらない。
 「な、何で…」
 こんなことをするんだ、と言おうとするけれど、言葉が続かない。
 「ルルーシュがどれくらい俺にドキドキをしているのかなってわかりたくて」
 スザクはそう告げると、ただ俺の心音を確認するように、動きが収まる。
 ただ、俺の心臓の音が聞きたいだけなら、ただそれだけにしておけば良いだろう!
 どうして、余計な悪戯までこいつはするんだ!
 普通に確かめるだけで良いのに…スザクは悪戯が好きなのか、いつも余計な事までしてくるんだ。
 「やっぱりすごいドキドキしてる。俺の事が大好きなんだな」
 随分と満足したような顔でうんうんと頷いて、俺が抑えるシャツの下で、また俺の裸の胸を撫で回す。
 「ば、馬鹿…!」
 下半身に熱が伴ってきて、これ以上はまずい、と自分でもわかる。
 どうしたら良いんだ…、とぐるぐると思っているところで、また焦らすようにスザクの手が止まる。
 今度は、何だ、どうした?
 こんなことを止めて俺を自由にしてくれるのか?
 「言い忘れたけど、さっき親戚のおばさんから電話があったんだ」
 俺がこんな状態なのに、急に親戚のおばさんの話だと!?
 相変わらず、空気の読めないやつめ!!
 う、いや、もしかしたらスザクは俺がこんな状態になってしまっているのも、たぶん気づいていないのかもしれない…。
 だって、スザクは昔から鈍いやつだったし、そうだったら怒ってもしょうがない…ここはぐっと堪えてやり過ごしてやるのが、優しい恋人じゃないか?
 「そ、それでどうしたんだよ?」
 つい下半身を押さえてしまいそうになるのをぐっと堪えながら、俺は引きつった笑顔を浮かべて、返事を返す。
 早く、どうにか早くしてこの話を終わらせなければ。
 「ああ、それでさ、そのおばさんが民宿をしているから、今度遊びにおいでって誘ってくれたんだ」
 「そ、そうなのか…じゃあ、遊びに…いかないとな…」
 余裕のない俺には、息も絶え絶えの返事をすることし出来ない。
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