原作設定シリーズ
□お礼参り
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「新八くん。何かなコレは…」
さわやかなかぶき町の朝。
汚い夜の情事を洗い流すような青空に、光り輝く太陽。
いたっていつも通りの朝が訪れていた…はずなのだが。
万事屋では、ある問題が生じていた。
「何って、朝食ですよ朝食。さっさと食べてください。片付けられないから。」
「おかーさんみてーなこと言ってんじゃねーよ!!つかコレ朝食!?供え物の間違いだろ!!もしくはピンポン玉だろーがァ!!」
銀時が『ピンポン玉』と称したそれは、所謂一般的に言う『おにぎり』というものであって。
ただ、おにぎりと言うにはあまりにもな大きさであったため、この表現が生まれたという訳である。
「仕方ないでしょォォォ!!もうこの家には少量の米と塩しかないんですよ!!これで思い付くメニューといったらピンポン玉くらいでしょーが!!」
「まったく、だからお前はいつまでたっても新八アル。こんな鼻クソみたいな大きさのおにぎり食べたって5秒で消化してしまうヨ。これなら木村カ〇ラの目ん玉のほうがまだ大きいアル。」
「オィィ!!新八を悪口として使うなァ!!」
いつものように自分に対して幾らか辛口のチャイナ少女に、新八は負けじと全力でツッコんだ。
「大体、銀さんがいけないんですよ!この間ガッツリもらった給料全部パチンコでスったから!」
「あァ!?しょーがねーだろ『新台追加!絶対当たる!』とか看板出てたんだよ!騙されたのはコッチだよ訴えようかなあのパチンコ屋!!」
「そんで慰謝料ガッポリもらうアル。」
「やめとけェェ絶対こっち不利だからァ!!つーか、僕らの給料もかれこれ3ヶ月出てないんですけど!?おかげで僕今無一文で何も買えないんですけど!!どーしてくれんですか!?」
「んだよそんなにメガネ新調したいの?無理しなくていーよ今更お前が黒ぶちになろーがコンタクトになろーが誰も気にしねーって。お前は永遠に8位のままだって。」
「違うわァァァ!!ていうかサラリと酷いこと言うなァァァ!!」
と、朝っぱらからギャーギャーと騒いだ結果、銀時のマダオっぷりに激怒した新八は『暫く休暇もらいます!!』と万事屋を後にし、その騒動を他人事のように見ていた神楽は、のんきに定春と散歩に出かけて行ってしまった。
残された銀時はというと。
「腹減った……」
朝のピンポン玉しか腹に入れていないため、とうとう胃腸に限界がきていて。
どうしたものか、と珍しく落ち込んでいたが、この時、銀時の頭の中に、ある考えが浮かぶ。
「…ヨシ。出かけるか。」