原作設定シリーズ

□女を捨てて
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女を捨てよ 月詠



俺だけは見ていてやる



俺だけはお前を護ってやる













惚れたか この男に
















「・・・・・・っ!!」









夢・・・か。







最近、毎夜同じ夢を見る。

真っ暗な闇の中で、師匠の声だけが木霊する夢。



どうしてこんな夢を、という疑問は抱かなかった。

わかってたから。



自分の中で大きくなりつつあるあの男の存在が、このような夢を見てしまう原因だと。




クリスマスのあの日。

今までに見た事がないくらい真剣な瞳で見つめられて、心臓が止まったかと思った。



その不思議な紅い色の中に自分の姿を確認した時、まるで全てが見透かされたような気がして。



何故、時間を忘れてしまう程あの男の事を考えてしまうのか。

何故、会う度顔が綻びそうなのを堪えてわざとぶっきらぼうな態度をとってしまうのか。

何故、あの男が女の話をするとこんなにも息苦しくなるのか。



何故、こんなにも切ない気持ちを、大切に思うのか。



その理由が、わかってしまいそうだったから。




『女を捨てよ 月詠』



『惚れたか この男に』




師匠の声が聞こえる。



責めているのか。

それとも、呆れて笑っているのか。










嫌だ。

気づきたくない。

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