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□あつく、ただ、あつく
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「勘右衛門、なんかお前の湯呑み異様に熱くないか?」



私、(変装名人と謳われている)鉢屋三郎はある日友人である勘右衛門にそう問うた。

勘右衛門は私に勝手に俺の湯呑みに触るなよ、と失礼極まりない言葉を投げ掛けつつ自分の湯呑みに触れた。



「そうか?

 いつも通りの熱さだと思うけど」

「それはお前は毎日その湯呑みに触っているから慣れているからだろ

 普通に考えてその湯飲みは熱い」

「それ鉢屋が猫舌だから俺の湯呑みは熱いと感じるだけだろ」



そう言って勘右衛門は茶を啜るが、私はそうとは思えない。


なんと説明すればいいのか分からないが、その湯呑みから発せられる熱は茶の熱さからくる熱さではない気がする。

もっとこう生物から感じる自然の温かみというかなんというか・・。


とにかく私はその熱さに強く疑問を持っているわけだ。



「そうだ、庄ちゃんか彦四郎の湯呑みと比べれば」

「鉢屋先輩、僕らの湯呑みに(悪戯しようと)触るのは止めてください」


「何この先輩いじめっ?!!

 イジメ カッコワルイ」

「鉢屋五月蝿い」




(尾浜そんなに私に触れるな!ああああああああああああああああああああああ恥ずかしい!!!穴があったら入りたい!!!!!)


 
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