短編

□謎のお金
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常にじり貧の生活を送ってる万事屋だが、それでもたまに儲かる仕事が入ることもある。
そういう時のお金の使い道はだいたい神楽ちゃんは酢昆布やよっちゃん達との遊びに使い、僕はお通ちゃんのCDやグッズに使っている。

では銀さんは何に使っているのか、ふと気になった。

まぁだいたいは呑み代やパチンコなどギャンブルに消えているだろう。
だが大きなお金が入ったとしても、銀さんは入らなかった時と変わらない質素な生活をしているように見える。
お金がないときは立ち飲み屋、ある時はそこで一品つまみを増やす程度。お金がないときはパチンコ、あるときは損してもパンイチにはならずに帰ってくる。
つまり何が言いたいかというと、銀さんは(おそらく)多額の貯金をしているのではないか、ということだ。

そんな話をスナックお登勢で神楽ちゃんとキャサリンさん、タマさん、お登勢さんにしている。


「ないアルな。あの銀ちゃんが貯金なんて、全く想像つかないアル」

「チャイナの言う通りダナ。もし貯金なんかしてんなら、家賃ダッテしっかり払えってんダヨ」

「しかし新八様の言うことも一理あります。データによりますと、銀時様が給料が入った時に使う額は従来と比較して、ひと月約二千円しか増額されません。
それ以上の金額の用途はデータにありません」

「ほら!なんだかんだ言って、銀さんだって貯金してるんだよ。だってそうじゃなきゃ、吉原とかの依頼で稼いだ時のお金が何に使われたか説明つかないじゃんか」

「なら何でいつもあんなに貧乏な暮らししてるアルか?今日の朝ごはんだって昨日と同じ豆パンだったアルよ」

「それは…分からないけど」


確かにそこがなぞなのだ。
質素倹約の生活をしていると考えるにしたって、いささか度の過ぎた質素っぷり。
家賃や各店のツケ代、なにより銀さんの性格から考えて、多額のお金をしっかり貯めているようには考えにくい。
一様に腕を組み、うーんと効果音をつけて閉口すると、今まで黙って聞いていたお登勢さんが煙草をふかして口を開いた。


「新八、あれでも銀時はいい年した男さね。あんた達が知らないような秘密もあるだろ」

「もしかしてお登勢さん、何か知ってるんですか?」

「さあね。そんなに気になんなら、本人に直接聞きな」



煙草の煙が一筋消えていくのを見ながら、それもそうだと思い至った。
今日銀さんが帰ってきたら聞いてみよう。

この時僕は、そんな軽い気持ちだったんだ。







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