hayate

□カーネーション
1ページ/7ページ



ある土曜日の夜

ナギは空を見て小さくため息をついた


「母よ…」


何一つ見えない星空
都会なら当然だ

しかし、今日は悲しかった

小さくて霞んでいても、一つだけでもいいから星が見えて欲しかった

あなたに会いたい


こんなに悲しくなるのは、今朝執事が言った一言のせいだろう


明日は母の日ですね


母の日…

母よ
あなたは今、空にいますか?

赤いカーネーションを一つだけ
明日買いに行こう

ハヤテと一緒に…









「なぁ、ハヤテ?今日一緒に花屋まで行かないか?」


次の日の朝、ナギは執事に言った

珍しいことを言うから驚いたのだろう

外出しようなどと…


「どうかなさりましたか?お嬢さま?」

「いや、ただな…。お礼がしたくてな…」

「お母さまにですか?」


わかった振りはしていたが、ハヤテは多分、最後までその言葉を消化できていなかっただろう

彼の両親は本当にろくでなしだったからだ


「まぁそう言うことだ」

「わかりました。それでは早速…」

「ダメですよ!ナギ!ハヤテ君!」


せっかく出発しようとしたところにマリアが待ったをかけた


「え?どうしてですか?マリアさん?」

「明日からの研修旅行の支度をまだこの子は終わらせてないんです」


そう、明日から九州に行くことになっている
なぜ九州かは置いておこう…


「なるほど…」

「服なら適当に選んでおいてくれ。どうせ国内だからすぐにヘリで運べるだろう」

「ダメです!自分の服は自分で選ばないと」


マリアはキッパリと言った


「全く…じゃあハヤテ!少し待っていろ」

「はい!」

ナギは渋々マリアに応じ、衣装部屋へと向かった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ