短編

□城之内君の憂鬱な誕生日
1ページ/2ページ

城之内君の憂鬱な誕生日


「相棒…。」


「もう一人のボク…。」


「……。」


「どうしたの?城之内君。変な顔しちゃって。」


「獏良…おめぇはあいつ等を見てなんとも思わねぇのか?」


「仲良いよね、遊戯君達〜。」


「ちょっと仲良過ぎじゃねえか…?」


「どういうこと?」


「…あの2人…付き合ったりなんて…してねぇよなー!そんなわけないよなー!」


「そうだけど、何か問題でもあるの?」


俺は城之内克也。

青春真っ盛り高校2年の男子だ!

青春…それは友情であり、喧嘩であり、恋だと思ってる。が…。


「お、男同士だぞ!?」


別に同性愛とかを俺は否定しているわけじゃない。

恋をすることに男も女も関係ないからな!

だが、いざ親友達がそういう世界に足をつっこんでるとなると…なんとも…理解しがたいというか…なぁ…。


「宿主!テメェ、何他の男と仲良くしてやがる…!」


俺がなんともいえない顔をしていると、バクラが憤怒の形相でこっちにやってきた。


「やだなぁ、バクラ。ヤキモチ〜?」


「なっ…ば、馬鹿言うんじゃねぇ!お、おお俺は…!」


「はいはい。浮気なんてしないから。」


「ば、獏良…?まさかお前も…?」


「ふふふ、どうだろうね〜。行くよ〜バクラ〜。」


「なっ…。」


「お、おい宿主!待てっ!」


…俺の周りは、いつの間にかホモまみれになっていた。






「城之内君!誕生日おめでとう!ボクともう一人のボクからのプレゼントだぜ!」


「ありがとよ!遊戯!《遊戯》もな!」


俺が戸惑っていた休み時間から3時間後の昼休み。

細やかな誕生日をと皆が集まってくれた。

遊戯達から貰った小さな箱を開けてみると中身はシルバーのブレスレットだったぜ。


「ボク…贈り物ってシルバーしか思い付かなくて…。もう一人のボクに相談したらそれでいいんじゃないかって!」


にこにこしながら話す遊戯。

この小動物みたいな感情表現が堪んねぇんだよな〜。

…ハッ!俺は今一体何を…。


「だからねっ、ブレスレットの内側にボクともう一人のボクの名前を彫って貰ったんだぜ!」


何がだからなのかはわからないが…見てみれば確かにYugi Atemと彫ってあった。

…これじゃ遊戯と《遊戯》のラブブレスだぜ…。


「あ、ありがとな…。」


「城之内君、僕はケーキを作ってきたよ。シューを一つ一つバクラに作らせて僕がコーティングしたんだ。クロカンブッシュっていうんだ。」


「へぇぇ!やるじゃねぇか!」


獏良が取り出したのは高さが60cm程もあるシュークリームのケーキだった。

どうやって持って来たんだ…。


「このケーキね、外国ではウェディングケーキとしても使われてるんだよ〜。」


「そうなのかーっ!」


「ロウソクを差して…誰か火付ける物持ってる〜?」


「…宿主。」


とんとんと獏良の肩を指でつついたバクラがライターを渡す。

用意良いな。何気に面倒見良いヤツだったりしてな〜。


「ハッピーバースデー!城之内君〜!」


火を付けた獏良を筆頭に皆も祝いの言葉を俺に掛けてくれた。


「な、なんか恥ずかしいな…。」


「さぁ、城之内君。思いっきり吹き消すと良い。」


「ふ〜っ!!」


一気に吹き消した俺に拍手が上がって、再び誕生祝いの言葉を掛けられる。


「なんかやっぱり照れちまうけどよ…ありがとな!皆!」


俺が鼻を掻きながらそう言えば、笑いに沸く皆。


「あ、切り分けるね!バクラ!手伝って〜。」


そう言って取り出すは結婚式でウェディングケーキを切るのに使われる長いナイフ。

獏良とバクラが一緒に持ち、せーのの掛け声でゆっくりと入刀された。

これってもしかしなくても初めての共同作業ってヤツじゃないのか…?

何故ケーキ一つ切るのに互いの顔見合わせて照れるんだ!獏良にバクラ!!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ