短編

□しかし其れは強くて優しくて
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しかし其れは強くて優しくて


『遊戯…ありがとよ…。』


声が、聞こえた気がしたんだ。

とても大切な仲間の声が…。


「城之内君…杏子…本田君…獏良君…御伽君…皆…。」


声は聞こえても、ボクの声は届かない。

ああ、そっか…。


「ボク、死んじゃったんだね…。」


不思議と、涙は流れなかった。

とても、悲しかった。寂しかった…。

皆の言葉が無かったらボクは頽れていたかもしれないや…。

僅かにしか聞こえなかったけれど、またね。の言葉…。

さよならじゃなくて、また、会おうって…!

だからもう、何も悲しむ事なんてないんだ!


「…っ相棒…!!」


懐かしい声が聞こえて振り返ってみれば、君がいた。


「久し振り、もう一人のボク。」


「相棒っ…お前っ…!」


もう一人のボクの目には、涙。


「もう、なんで君が泣くのさ。」


ボロボロ涙を零して顔をくしゃくしゃにして嗚咽を漏らして。


現世の君のファンがみたらがっかりしちゃうよ。


「相棒…っうっく…何故来てしまったんだ…ひっく…。」


「仕方なかったんだよ…。でも、もう一人のボクに会えたし、皆とも永遠にお別れするわけじゃないんだ。」


「っでも…!!」


泣きじゃくるもう一人のボクを、ボクは抱き締める。

背中を軽く叩いて、あやしてあげるんだ。


「相棒…相棒っ…う…ひっく…。」


「ありがとう…もう一人のボク…。」


強い君が、ボクの為にこんなに泣いてくれて…。


「皆…っ相棒の事を想っている…!」


「うん…。」


体を放して、今度は手を繋いだ。

「君は、優しいね…。」


「相棒は、強いな…。」


ボク達は歩き出す。

冥界の、中へ…。


『俺達の…友情…。』


ふと、また声が聞こえた。

何かに導かれるように繋いだ手に視線を落とす…。


「これ…友情の輪…。」


ボク達の、絆…。

それを見た途端、頬を涙が伝った。


「皆……!」


友情の輪の描かれた手を胸に当てて、ボクはもう一粒涙を流す。


「皆の友情…相棒の手にあるその印は永遠の友の証だ…!」


そう言って笑ったもう一人のボクの手にも、しっかり友情の輪が刻まれていた。

この輪は、きっと再び会う約束の印だね…。







〜あとがき〜
闇様の女々しさが異常ですみません…☆rz

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