短編

□丁寧に
1ページ/1ページ

丁寧に


「はい、どうぞ。」


「……今日は妙に気前が良いじゃねぇか。」


エアコンガンガンで喉が渇く宿主の部屋。

珍しく機転を聞かせて宿主が茶を持ってきた。


「…毒で俺様を殺そうって魂胆か?」


ガラスのコップに入った液体の色を確かめ、匂いを嗅いでみたが、特に変わった様子はねぇ。

ほんの少しだけ飲んでみたが、どうやら大丈夫そうだ。


「嫌だなぁ、毒なんて入れませんよ。」


ぶーーっ!


「わっ、汚い…。」


や、宿主が…俺様に敬語だと!?


「僕変な事言いました?」


「……いや、なんでもねぇよ…。」


おかしい。

おかし過ぎる…!


「そろそろおやつの時間ですね。シュークリームで良いですか?」


「あ、ああ…。」


なんだなんだなんだなんだ!?

今あるシュークリームっつったら宿主が楽しみに秘蔵してやがるデパ地下の高ぇやつしかねぇはずだ…!


「宿主…お前何考えてやがる。」


「何って…折角のシュークリームですし、一緒に食べようかな〜と。」


変だ…!宿主が変だ…!


「やだなぁ。僕何処もおかしくないですよ。」


…だが電波は健在らしい…。


「さあ、食べましょう。」


…落ち着かねぇ…。

………待て…。俺様は宿主が従順になることを望んでいたんじゃねぇか。

これは好都合なわけで…。

無造作にシュークリームを頬張りながら俺様は考える。


「あ、シュークリームおかわりいります?」


違う…!宿主はこんなこと言わねえ!


「お前何食った!?」


「何って…シュークリームですけど…。」


「そうじゃねぇ!変なキノコとか食ったんだろう!」


「…何ですかそれ。」


何かの冗談ですか?と笑う宿主。

駄目だ…俺様はこれに慣れるしかねぇのかよ…。


「良いじゃないですか。何だって。折角の高いシュークリームなんだもの、美味しく食べましょうよ。」


「…………。」


プラスに考えろ俺様。

今ならなんだってできるじゃねえか。

……そうだ。今まで出来なかったことを…。

…………いっちょ言ってみるか…?


「り、りり………りょ…。」


「ん?」


「りょ、りょー………なんでもねぇよ。」


どうしちまったんだ俺様!

たかが宿主の名前……!

たかが了と呼ぶだけじゃ………。


「大丈夫ですか?顔が赤いけど……。」


「だっ大丈夫だ!気にすんじゃねぇよ!!!」


…りょuって発音考えただけで動悸が…。

宿主…貴様魔女か!?


「あーくそっ!外いってくるぁ!!!」


取り敢えず、頭冷やして出直す事にしよう…。


「あっ…ちょっと……。」


ばたん☆






「…………ちぇっ、敬語で優しくしてやれば名前くらい呼んでくれると思ったのにな。」







〜あとがき〜
原作の獏良の軽い敬語を見て思い付いたは良いけど……うまく纏まらなかった一品…☆rz

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ