短編

□愛してるの言葉
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愛してるの言葉


「あ・い…。」


違う、もっと気持ちを込めて…。


「あ・い・し・て・る。」


ボクは発音に気をつけて一文字一文字はっきりと言うんだ。


「あ・い・し・て・る。」


ボクにはこの言葉の意味がよく分からない。

最近見たテレビで、理解したい単語は気持ちを込めて言ってみれば分かるって言ってた。

本当かは分からないけれど、君の云うこの言葉の真意が気になって仕方がなかったから…。


「あ・い・し・て・る。」


だからボクは何度も呟く。

君は何を思ってボクにこの言葉を言ったんだろう。

友愛?恋愛?家族愛?

愛してるの意味が分からないんだ。


「あいしてる…。」


君は何故…。


『相棒…愛してる。誰よりも深く、誰よりも強く…。』


分からないよ…。

あいしてるってなんだろう。

君がボクを愛しているのならボクは何をあいしているんだろう。


「あ・い・し・て・る。」


何度言ってもしっくり来ないや…。


「あ・い・し…。」


君は何故あんなに悲しそうな顔で愛してると言うんだろう。


『愛してる…愛してる…。』


ボクを抱き締めて、何かに怯えるように…。


「あ・い・し・て・る。」


『愛してる…。』


言えば言う程君は苦しそうにしてたね。


「あ・い・し・て・る…。」


君の心を、君の気持ちを考えてボクは言うよ。

君の発したこの言葉を理解する為に…。


「愛してる…愛してる…。」


君の気持ちを考えれば考える程、分らなくなっていく。


「あ、い…して…。」


分からない…分からないのに…。


「あ…いし……てっ…る…ッ。」


涙が込み上げて来るんだよ。

何故…何故なの…?

ボクも君も…この言葉を言う度に何故こんなにも胸が苦しくなるの…。

君を想えば想う程…。

君の顔を思い浮かべて言うだけでボクはこんなにも苦しいよ。


『相棒…。』


「もう一人のボク…。」


愛してる…。







〜あとがき〜
ものっそい短くてすみません☆rz

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