短編
□おれたちの
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おれたちの
「おはようっ!」
「遊戯君遅刻ぎりぎり〜。」
遊戯が教室に飛び込んだ時、朗らかな獏良の声が聞こえた。
「おはよう遊戯!」
「珍しいな!今日はもう一人の遊戯は休みか?」
本田の問いに皆が頷く。
遊戯ともう一人の遊戯が別々に登校してくることはなかなか無いのだ。
遊戯が体調不良の時は付きっきりで看病、遊戯が足を捻ったりすれば問答無用で一緒に早退、トイレに行くのも一緒。
現世に戻ってきてからと云うもの、正にべったりであったもう一人の遊戯。
珍しいと言われる事も頷けると云うものだ。
「珍しいと云えば、今日はバクラのやつ、自分から学校行くって言い出したんだよ〜。」
「うっひゃー!今日は槍が降るぜ!」
バクラは逆に滅多な事では学校に来ない。
獏良に連れられてぶちぶち言いながら登校することはあっても、自主的に来ることはなかった。
「今日何かあるのかな?もう一人のボクも朝早くに家を出たみたいで…。」
ガラッ
遊戯が話をしている真っ最中、大きな音を立てて教室の扉が開いた。
そして、それに負けない大声も。
「俺様の勝ちだなァ?王様ぁ?」
「相棒が喋っている時に騒音を立てる…。愚の骨頂だぜ。バクラ。」
噂をすればなんとやら。
扉を開けたままニヤリと笑うバクラと腕を組んで斜に構えるもう一人の遊戯に周りは開いた口が塞がらない。
「(い、今のってアレだよな?どっちが先に教室に入れるかってやつだよな…?)」
「(走ったら叱られるから早歩きで頑張っちゃうアレだよな…?小学生がよくやってる…。)」
「(ここって高校だよな!?つかあの2人、そんなキャラだっけぇぇぇ!?)」
以上がギャラリー基クラスメイトの心の声である。
「ハッ。負け惜しみなんざ…地に墜ちたモンだなぁ?」
「相棒の素晴らしさも知らずに何を言う。」
「じゃあ何か?てめえは宿主の愛らしいところを知ってんのかよ?」
2人の視線が一瞬火花を散らした。
「俺の宿主サマはなァ、綺麗で器量が良くて…素直じゃねぇ。が、本心を気付いて欲しそうにこっちを見るんだぜぇ?ツンデレって分かるか?王様よぉ…?」
「ツンデレがなんだ。相棒はいつも慈悲に溢れているぜ!心の清さと強さは折り紙付きだ。城之内君から借りたAVを見ている時の相棒は正に萌えの塊だぜ!顔を真っ赤にして恥じらう相棒…この可愛さに勝てるとでも?」