短編2

□今年最後のparty night☆
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「俺様が、生贄…?また…、また復讐出来ずに消えるってのかよ…!?!?くそ…、クソォォォ…!畜生ォォォォオオ!!!」


走り去る直前に顔から飛んだあの雫は…、涙…?

あれ?なんだかボクの目からも心の汗が…。


「どうしたんだ…、相棒…。」


「えっ、いや、なんでもないよ。」


「バクラは、どうしたんだろうな…。何かかなりのショックを受けていたみたいだったが…。」


君に復讐出来なかったショックなんて、口が裂けても言えないよ…。


「あはっ!ウーケーる〜!」


ちょっとぉぉぉ!?

そんなギャル校生みたいなこと言わなくても!?!?


「おー、去り際までサプライズかよ!やるなぁ!!」


「闇人格のバクラ君って、結構ユーモア溢れる人だったのね!ちょっと私には理解し辛かったけど…。」


ユーモアどころか…、彼は至って生真面目な人なんだと思うよ…、うん。

それはもう、真面目過ぎる程に。


「ところで…、中身はなんだろうな?コレ。」


バクラ君の痛々しい姿に忘れかけていたけれど、ボク達の手には小さなプレゼント箱が一つずつ。

ひょっとして…、本当に呪われた魂が入ってたり…?

ま、まさかね!は、ははっ!!


「僕とあいつからの…ぷぷっ、プレゼントだよ!開けてみて?」


わ、笑わなくても…。

獏良君の言葉にワクワクしながら皆がリボンに手を掛ける。

それに見習ってボクも可愛らしいリボンを手に取ったけれど、内心では良くない意味でのドキドキが止まらなかった。

あぁっ!もう一人のボクも開けようとしてる!

中身の安全性を確かめる為にもボクが一番先に開けなきゃ…!

ぎゅ、と目を瞑って、ボクは勢いよくリボンを引っ張った。

そして、おもむろに箱を開ける。


「な、何も起こらない…、よね?」


目を開けたら怪しいエクトプラズマーとこんにちはしたりは…、しなかった。


「あっ、可愛いクッキー!!」


喜ぶ杏子の声に、目を開いて中身を確認してみると、そこには人型をしたクッキーが。


「ジンジャーマンのクッキーって言ってね、クリスマスにはオーソドックスなクッキーなんだよ?」


「へー!」


「これも獏良が作ったのかよ!?」


「うん〜。」


「ひゃー、器用だな〜。」


満腹になったばかりにも関わらず、手に持ったクッキーをひょいと口に入れる城之内君。

ぼりぼり砕かれるとクッキーが、とっても良い音を立てた。


「ん〜!うめぇ!」


幸せ満点な表情でそう言う彼に、皆もそれぞれにクッキーを食べ始めた。

勿論ボクもその一人。

香ばしくて、甘さがじわ〜っと広がって…。


「美味しいね…!もう一人のボク!」


「む。」


城之内君を見習って一口でクッキーを口の中に入れたもう一人のボクがもごもごと頑張って顎を動かしている。

所々膨れ上がるぽっぺが無邪気だ!


「も〜!慣れない事するからだよ!かっわいいんだから!」


ぎゅう、ともう一人のボクに抱きついたところで、我に返った。

そろそろと顔を上げれば、クッキーを食べたまま、じ〜っとボクを見る4対の目…。

嗚呼、無音に響くクッキーを噛む音が虚しいね…。


「がりがりがりごっくん!あぁ…、相棒…、やっとその気に…!」


やっとって何!?その気ってどの気!?

しかも君、それを言いたいが為に高速咀嚼したの!?


「いや、なんでもないんだ!うん!皆も!ほ、ほら、何て云うかその…、そう!勢い!勢いだよ!そう!」


「ふぅ〜ん。ぼりぼり。」


ばっ、獏良君…。

はっ!いつの間に君もクッキーを!?

いやいや、そうじゃない。そんなことを気にしたいんじゃないんだ!


「うめーな、クッキー。」


「うん、ホントおいしー。」


「すげーうめー。」


うわわ…、なんでだろ、棒読みが凄く突き刺さる…。


「あつあつね。」


「あっちーな。」


「火傷しそうだよなー。」


「クッキーが。」


「そうそう。焼くとき。」


「オーブンが高温だもんね。」


これってもしかして…、シラけた…?


「ご、ごめん、もう一人のボク…。」
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