短編

□気になどしない
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気になどしない


『何を作ってやがる。』


「見れば分かるだろ。TRPGの人形だよ。」


『てめぇの誕生日にご苦労なこった。』


今日は僕の誕生日だ。

だけど、それが何?

一年、365日。閏年なら366日。

ただ僕が産まれたのが何年も前の今日だっただけで、いつもの日常とはなんら変わりないじゃない。


「僕はやりたいことをしているだけ。」


『冷めてんな。宿主サマはよォ。』


「作業の邪魔。何処か行っててよ。」


『へいへい…。』


僕の誕生日?くだらない。






『宿主、欲しい物とかねぇのか?俺様が奪ってきてやるよ。ヒャハハハ!』


「……またどうしていきなり。」


『誕生日だからな。日頃の感謝を込めてってやつかねェ…?』


何を企んでるんだか…。

大体なんで僕の誕生日なんて気にするんだ。


「欲しいものは…。」


『ものは…?』


「お前………。」


『や、宿主…ッ!?』


「の首に掛かってる千年リングかな〜。」


『がくっ…。』


こんな古典的な手に引っ掛かるなんてどうかしてるんじゃない?

リアクションも古いし。


「何?顔赤らめたりして。気持ち悪いんだけど。」


『酷ェな、宿主サマ。』


「ふん…。」


からかい甲斐があるのかないのか…。


『…やるよ。』


「はぁ?」


何本気にしてるのさ。

千年リングなんて差し出されて僕にどうしろっての?


「冗談に決まってるじゃない。」


『俺様も冗談だぜェ?』


……あ、そう。


「さっきも言ったけど、僕は誕生日なんて気にしていないから。」


『俺が気にすんだよ。』


「………。」


勝手にしてよ。

あぁ、馬鹿らしい。

人形、さっさと完成させよう。







『宿主ィ〜。』


「作業中。」


『欲しいもんねぇのかよ。』


「邪魔。」


『なぁ、宿主。』


「いらない。」


しつこいな…。

まぁ、遊戯君達に何度返り討ちにされても何か企んでるところを見るとかなりしつこい性格なのだろうけど。
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