BOOK
□novel
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覚めても
いつか見た夢に
ただ溺れていた
足に絡まる茨のような
貴方に愛される−そんな
くだらなくも
愛しすぎる夢に。
***
その朝は眩しいほどの陽射しが眼に滲みたのを覚えている。
柔らかな風が頬に触れたのを感じ、開かれた窓に視線を向けると伸びるカーテン先の緑と青が美しかった。
隣に寝ていた人物はいなかったけれど部屋のドアの向こうからその者の声と共に旅する仲間の声が耳に入り、自然と安堵する自分が不思議と面白く思えた。
跳ねた髪を手櫛で直し、少し高揚する胸を落ち着かせたならば、そのドアを開くだろう。
−仲間の笑顔と貴方の紅を、この忌々しい蒼に焼き付けた時。いつかこんな瞬間も夢だったのでは無いかと、
泣いてしまうんじゃ
ないのかなんて。
−それでも開いたドアの先は
まだ覚めない
夢というイマが続いていた。
*********************fin
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