BOOK

□novel
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イタズラニイジワル




求めて 求めて


互いを満たそう







キスする時は
いつも唐突だ





「んぅ…黒…っ」


唇を堪能し、息を吸わせてやると必ず艶ある吐息を漏らす。その後は決まって、文句を言う。

「息させてよぅ、黒りんたー」


そう言って膨れた頬は紅く染まっていて、そんな仕草一つ一つが黒鋼の理性を脆くも崩してしまう。


「続きは…」


「だめー」


頑なに拒否させて、抱き締めた腕から逃れようとしてもがく。

だから、わざとキツク抱き締める。


逃れられないように
ちょっとした、意地悪を



「ぃ、いたいー!黒ぽん!オレ潰れる…」


「おう、潰れるもんなら潰れてみろ」


「きちくー…、ふむぅー…っ」



必死で足を上下させ、
パタパタと跳ねる。

黒鋼の腕の隙間を割って抜けようと試みるが、力の差は歴然で。


「ひど…  ―っん!」



息も吐かせぬ用に、
再び唇に自分を押し当てる。

少しの空気も与えぬよう、深く。



「ふっ…んん」



少し触れ、再び深く

繰り返す悪戯



「…参ったか?」


「も…、降参、ですー…」



パッと握る腕の力を緩めると、その場によろよろと倒れこむ魔術師。ガックリと項垂れた様子に一瞬不安になり、黒鋼はその顔を覗き込もうとした―



「!!」




―ふいにその頭が上げられ

黒鋼の唇を奪う。




驚き目を見開く先には

いつものヘライ笑顔があって



「参った?」





そう悪戯に問う




「…降参だ」




そして意地悪に笑う


見つめ合い、互いの色を確認したら、今度は優しく触れるキスをした。何よりも甘く、愛に触れる為のキスを。

キスの後は決まって言う
お互いが唯一言葉を合わす瞬間




『あいしてるよ』



そんな愛する君との
甘い悪戯な時間。

************************


キスする時は
いつも唐突だ

互いを求め求め
貪欲に愛して止まない。

最も素直な感情を
悪戯に意地悪に奪い合い感じあっては
連鎖的に繰り返す衝動を満たす。




fin









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