BOOK
□novel
9ページ/17ページ
脈
それは
音も立てず
流れた。
それを見ながら聞こえない音を想像してみると、やけにリアルに耳から爪先へ流れていく"鼓動"の音が伝わるのを感じた。
闇の中に突如現れた紅は
恐ろしいほど美しく見えたのだけれど、そう思ってしまった自分の心はとても濁って見えた。
規則正しいリズムで
滴る紅が誘う
「本当にしょうがないね
ー …『黒鋼』」
そのままオレは
その流れる血を口に運んだ。
*********************::fin
ブラウザバックでお戻り下さい