捧げ物

□何れ菖蒲か杜若
3ページ/4ページ




「くふふ…また逢えましたね」

「―――六道、骸」


ボンゴレ霧のリング戦

クローム髑髏の、凪の身体を借りて現実となった骸は真っ直ぐに綱吉を見た

戦いが終わって、みんなが散り散りになる


「……むく、ろ?」

「――――…すみません、今は実体化できませんからこのままで」


髑髏の声で、骸が答える

それを聞いて泣き出しそうになった


「骸…っ」

「約束、果たせました」

「…うんっ」

「今はこれが精一杯ですが、絶対に君をこの手で抱きしめて見せますから」

「うんっ」


涙が止まらなかった

さきほどの映像を見て、骸が今、どんな状況にあるのかを知って…


「それまでこの子を、クロームをお願いします
彼女が居なければ僕は今ここには居ることができませんでしたから」

「うん…っおかえり、骸…」

「―――えぇ、ただいま」


いつかまた逢えるときがくる

それを信じて待つ

自分の日常はこの人によって代わる

でも、前の日常も、骸との日常も…どちらも素晴らしいことにはかわらない

できることならみんなが骸を受け入れてくれれば、もっと素晴らしい日常が待っているに違いない


「わがまま、かな?」

「…そうですね、でも…もし仲間として受け入れてもらえなくても…僕は彼方を手放したりはしません」

「――…う、ん」

「ですから、また、夢で―――」


現実の世界が一番だろう

でも、二人だけのあの夢の世界も悪くはない


「では、また」

「うん」

『Arrivederci』


二人の呟きは星空へと消えていった








【何れ菖蒲か杜若】

《アヤメとカキツバタは似ていて区別がつきにくいところから》
どちらも優れていて優劣がつけにくいこと
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ