それでも君を愛してる! 綱吉said.

□Duemilaotto Agosto 24 (lunedi)
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「僕が望むもの、ですか」

「お前には、望みがあるといっていたな」

「えぇ…ですが、僕の望みは彼方でも叶える事敵わないでしょう」

「俺に出来ないこと、か」

「そうです、僕が望むのは永遠の命、死することのない、朽ちることのない、命」


これは、初代の記憶

だから、初代の視線でしか、先は見えない

目の前にいるのは、二十歳前後の青年

黒いスーツに身を包んでいるその姿は、マフィアそのもの


「なるほど…そんなことが出来るのは、神のみか」

「えぇ、ですから彼方には無理なんです…僕の望みをかなえることは」


まるで、初代を蔑んでいる様に言う

その表情は悲しみに満ちているって事に、きっと本人は気づいていない


「ならば、呪いならどうだ」

「呪い…?」

「永久に朽ちることのない身体を与えることは敵わない、だが、呪いならどうだ」

「これはこれは…随分とぶっ飛んだお話しですね?耄碌しましたか?」

「あぁ、そうかもしれないな…」

「…………僕が、気づいていないとでも思いましたか?」


温度のないその瞳に見据えられる

それでも初代は、それを見て笑った


「お前には、隠し事は出来ないと知っている」

「ならば、何故」

「俺にはもう、命の炎を使うこの力を保つことは出来ない…だから、皆の望みを叶えてやろうと思ったんだ」

「最初に約束しましたからね…彼方は、望みを叶えくれると」


どういう、事?

命の炎を…て

死ぬ気の炎のこと、だよね

保つことが出来ないって…


「残っている炎で出来るのは、それくらいだけだ」

「それで、呪いですか」

「朽ちることのない体が不可能ならば、絶えることのない魂を…」

「魂はめぐり、次の生と甦る?」

「そうだ、身体が死んでも、魂が無事ならば生きているのとなんら変わりないだろう?」

「馬鹿らしい…それでは意味がない」


背を向けて、部屋から出て行こうとするその人を、追うことはなかった

もう、そんな力すら、残ってなかった


「悪いな、霧…」


――もうあまり、時間が残っていないようだ



 
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