Viaggio di ora

□Viaggio di ora U
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「だーかーらー!絶対こっちが良いですって!」

「僕は普通で良い…」

「そんなつれないこと言わないで下さいよぉ…」


夏の日の、昼下がり

ひとつのバカップルが、いちゃこいていた






=== Viaggio di ora === U ===






蝉 クーラー 滴る汗 

沢田家、綱吉の部屋

明後日に迫った夏祭り

毎年、屋台のショバ代を集めている恭弥

今年ももちろん、そのつもりである

だが…


「浴衣じゃぁ獲物を逃す可能性があるからあまり狩りの時はそういう格好をしたくないんだけど…」

「そんなどこぞのRPGみたいなことしないで、普通にお祭り楽しみましょうよー」


恋人である綱吉は、恋人らしくお祭りデートがしたいと言う

もちろん、二人で浴衣を着て屋台を“普通に”回りたいのだ


「だってせっかくお祭りですよっ?」

「祭りの日は風紀が乱れてるから…僕は祭りを楽しむことはできないし、群れを見逃す気も無いよ?」

「…それでも、浴衣で一緒に歩くくらい…良いじゃないですか」


しょんもり、とでも効果音が付くのではないかと思ってしまうほど、綱吉は俯いて身を縮めた

その様子を見て、然しもの恭弥も表情を変える

綱吉が悲しんでる姿を見るのが、一番嫌いなのだ


「……」

「……、〜〜っあぁーもう、良いよ、僕の負け」

「!」

「その代わり、全部の屋台回ってショバ代集めはするからね」

「はーい☆」


嬉しそうに返事をして、笑顔で恭弥に擦り寄ってきた

喜んでもらえるのが嬉しくて、恭弥も表情が和らぐ

自然と見詰め合って、目を閉じて、キスをした

途端


「ぐっぴゃぁぁぁ」


聞き覚えのある、いつもの邪魔者の声

鍵をかけていたはずの扉が、破壊されて毛の塊が転がり込んできた


「はっ…ちょ、ランボ!?」


毛の塊、もとい、ランボ

なにやらボロボロになっている


「また邪魔する気なのこのアホ牛…」


ゆらり、と恭弥がトンファーを右手に構える

抱きついたままの綱吉は、慌てて恭弥の腕を掴んだ


「あぁ恭弥さんっ落ち着いて下さい…!だいたいランボ!一体どこから飛んで…」

「このアホ牛がイーピンのプリンを食っちまったんだぞ」

「リボーン!お前見てたんなら止めるとかしろよ!」


ランボによって壊された扉の向こうに、リボーンの姿

その後ろにはイーピンの姿もあった

邪魔な人間が増えたことにより、恭弥のこめかみがひくついている


「ぅ…う…ら、ランボさんは…悪く、ない…もんねっ」

「全体的にお前が悪いって…」


ゆっくりと立ち上がろうとするランボに思わず突っ込みを入れて溜息を吐いた

いつもいつも、この家にいると騒がしくて仕方が無い


「うるさいダメツナぁ!これでも食らえぇっ」

「えっうわ…っまた手榴弾!?」


ランボが髪の中から両手で何かを取り出す

だが、いつもと形状が違っていた


「違ぇな…そいつは……ヤベェぞ…ツナ!」

「えっ?!」

「綱吉っ」

「恭弥さ……っ」


ボフンボフン…と音を立てて恭弥が煙に包まれた―――






>>>Seguace...

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