Viaggio di ora

□Viaggio di ora \
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―――目が覚めたとき、いつもは感じない…隣にある体温


―――目覚めたときの、誰も居ないあの不安


あぁ、この時代の“雲の守護者”は

毎朝、こんな気分で…迎えているのだろう




=== Viaggio di ora === \ ===





「―――…ット?」

「……?」


朝、なのだろう

目を覚ますと、隣にあった体温

いつもは感じない、体温

あぁ、そうだ…ここはいつもの場所ではない

だから、この体温は彼のものではない


「――…あぁ、おはようございます…雲さん」


ふわりと、寝惚けたように微笑む

見た目は、瓜二つと言っても過言ではないのに

こういう表情は、似ても似つかない

きっと、綱吉は母親に似たんだろうなって思う

昨日、暖かい笑顔で迎えてくれた

初めて逢ったはずの人間を

どこの誰とも知らない人を何も言わずに受け入れてくれる

あぁ、この人がボンゴレ10代目の母親なのだと思った

全てを包容する、大空の…


「おは、ようござます…」


目が覚めて、隣に温もりが在るなんて、いつ以来だろう

すごく嬉しいって思った


「まったく、お二人ともいつまで寝てる気なんですか」


と、急に聞えてきた声に寝惚け眼をそちらに向ける

見えたのは、青い房

と、左右で違う…紅と蒼


「骸…?」

「可愛らしいですねぇ、お二人して」


ベッドのふちに腰掛け、膝での上で頬杖を突きながら呆れたように笑う

骸にベッドを占領されていたので、雲と綱吉は布団を敷いて眠った

もちろん、雲は布団で寝るなんて初めてで、戸惑っていたけれど

綱吉と一緒に寝ることで安心したのかぐっすり眠っていた


「可愛いって…お前だってディーノさんの前だと可愛いくせに」

「なっ…だからなんでそこであの人の名前が出てくるんですか!」

「あー赤くなってるー骸も充分可愛いよー」

「人をからかうのもいい加減に…、?どうかしましたか、雲?」

「っえ?な、なんでもないよ」


困ったように笑いながらいう雲に首を傾げる

綱吉も、何が起きたのか良く分からずに首を傾げた

まぁ、でもまずは…


「いい加減、起きなさい二人とも」

「「はーい」」


いまだ布団の中だった二人に、母親の如く言い放つ

自分が寝ている間に仲良くなったのだろう、雲と綱吉がすごく楽しそうに笑っている

雲がここまで心を許すとは…と、感慨深い思いの骸は思わず頬を緩ませた

さすが、ボンゴレの…ジョットの血を引いているだけはある


「さて、お二人とも…今日はどういうご予定ですか?」

「今日は、並盛を案内することになってるんだ」

「……外へ?」

「そうだけど…なんで?」


ス、と骸の視線が雲に向けられる

いまだ布団の中だった雲は、ビクッと肩を震わせるとかけていたタオルケットで顔を半分隠す


「…雲、外へ出て大丈夫なんですか?」

「だ、大丈夫…だよ?」


綱吉の後ろに隠れるようにして、答える

骸の表情が渋いものになってきた

この状況を、やっぱり理解できていない綱吉が口を挟む


「え、何か問題でも…?」

「問題ですよ、雲はすぐ体調を崩しますから…この時代の環境汚染で何かあったら…」

「身体…弱いんですか?」

「……昔ほどじゃ…ないよ」


どうやら、本当らしい

如何したら良いのか、綱吉には分からない

せっかくこんな時代まで飛ばされたのに、一日中家の中というのは実につまらないだろう

それは骸とて同じ思いだ

けれど、もし何かあったらどうするのか、と心配している

無事にジョットの元へ帰らなければならないから

一国の王として、しなければいけないことがあるから


「でも…他の国の事を勉強するのも、王の務めだよ?」

「…それも、そうですけれど」

「だ、大丈夫だよ!昔と違って、今は医学が発達してるし…」

「……その代わり、僕も一緒ですよ?」

「っ…うん!」

「良かったー、良かったですね、雲さん」

「うん、ありがとう…ツナヨシ」


行かせたいのは、骸も同じだ

ならば、3人で一緒にいればいいのだ

何かあったらすぐに対応できる

それにしても…


「随分と、仲良くおなりになって」

「ツナヨシのママンが、すごく優しくしてくれたんだよ」

「そうですか…良かったですね、雲」


ふかりと優しい表情をする

どうして、こんな優しい顔ができるのか

少しはディーノにもこういう表情を見せてやれば良いものを…

などと、ついつい思ってしまう


「それじゃぁ、ご飯食べて…どこから出かける?」

「美味しいチョコレートが食べられる店が良いです」

「お前の意見じゃなくてな?」

「ツナヨシと、霧の、オススメの場所ならどこでも大丈夫だよ?」

「ほら御覧なさい」

「良いけど…朝からチョコは無し!」

「…では、昼食あたりに」

「はいはい」


どこぞへ出かけると言えば、たいてい骸はジェラートがどうのこうの、チョコがあーだこーだと言い出す

甘いものは好きだけれど…さすがに体に悪い

それこそ雲の身体に悪いではないか

呆れつつ、3人は服に着替える

雲は、恭弥が止まりに来るとき用の服を

骸は、常に綱吉の部屋に置いてある自分の服を

何故綱吉の部屋に、他人の服が揃っているのかと聞かれれば

みんな仲良しだから、としか言いようが無い

でもそれが今役に立っているのだから良しとしよう

時刻はすでに、9時

太陽が、アスファルトを焼き始めていた




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