ヒバツナ短編2
□ちくちく
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ちくちく ちくちく
ぷち…、
「っ痛…」
点のような傷からぷくん、と血があふれる
そこを涙目で舐めると、綱吉は息を吐いた
「…こういうの、苦手なのかな」
ほかの家事なら、任せろ!って感じ何だけど…
=== ちくちく ===
「恭弥さー…ぁ?」
放課後の応接室
付き合ってからおよそ半年、そこへ通うのはすでに毎日の日課となっていた
最近では、友人である獄寺隼人や山本武とともに帰ることも少ない
応接室にいる彼に逢うために足しげく通っている
しかし今日は…
「…いない?」
珍しく恭弥の姿は無い
もちろん、恭弥がいつもそこにいるとは限らない
屋上にいたり、巡回していたり
忙しい身なのは知っているし、それも理解している
「あーぁ…いっか、待ってれば帰ってくるし…」
応接室の鍵が開いていたのが論より証拠
帰ってしまったときは必ず鍵は閉まっている
帰ってくることは分かっているのだ、わざわざこちからか探しに行くことも無いだろう
「……帰ってくるまで、寝てよ」
最近回りがうるさくて静かに眠れる機会が減ってきている綱吉だ
こういう時こそ睡眠をとるべきだろうと、自己完結させてソファーにこてん、と横たわる
すぐに眠気に襲われて、意識は闇へと沈んで行った