ヒバツナ短編2

□ゆめ
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―――恭弥さん、恭弥さん!

―――待ってくださいよー恭弥さぁん

―――あ!見てください恭弥さん!!

―――俺、恭弥さんのこと大好き、です…っ

―――大丈夫ですよ、今日の俺の運勢は最強だそうです


―――いってきます


そう言った君が次に帰ってきたのは数日後

いつもの暖かい笑みとは違う、冷たくて、悲しそうな表情の、亡骸だった





=== ゆめ ===





「――…ハァ、はぁ…はぁ……」


目を覚ますとそこは自分の家の寝室

真っ白なシーツを皺になるまで握りこんでいた

ぐっしょりと寝汗を掻いていて、前髪が肌に張り付いている

シーツも背中に張り付いているようだ


「…、夢?」


右手の平を見る

カタカタと震えているその手

今きっと自分の顔は蒼白になっていることだろう


「きょ…ゃさん?」

「っ…、つなよし…」


思わず息を呑んだ

隣に横向きになってこっちを見ているのは紛れもなく自分の恋人

先ほど夢に出てきた、冷たい身体を思い出す


「…っ、」


泣きそうな顔をして、綱吉を引き寄せ腕の中に強引に閉じ込めた

もともと大きな目をそれ以上に見開く


「恭弥さん…?」

「ごめ…、ちょっと…ごめん」


カタカタと震えている恭弥の身体

何か察したのか、抱き返す


「…怖い夢、見たんですか?」

「……、」

「どんな夢、ですか?」

「言わない」

「……そうですか、だったら良いです」


言いたくないのなら、言わなくたっていい

それに言葉には言霊がある

それが現実になってしまうのが、怖いのだ


「大丈夫ですよ、絶対に大丈夫ですから…」

「…うん」

「それに、夢は夢ですし、ね?」


そういって安心させようとする綱吉

なんだか自分が情けないように思えて、自嘲気味に笑った


「そう、だね…うん。ありがと」

「いぃえぇ」


語尾にハートでも付きそうな綱吉の返事に腕の力を緩めて顎をつかむ

すぐさまその小さな唇に口付けを落とした


「おはよ、綱吉」

「はい、おはようございます!恭弥さん」

「今日もかわいいね」

「またそんなこといってぇー」

「事実だよ」


今日も一日が始まる

 
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