復活CP小説
□Affetto
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「おやおや、またですか」
「…うん、ね、お前もね、いつから居たの」
「今さっきですよ、またこんな領収書を…」
「お前も良い勝負だけどね」
「僕は自重してますよ」
「あっはは、俺は自嘲したいよ」
「おやおや、そんな後ろ向きな事言うものじゃないですよ」
「後ろ向きにさせてんのはお前らだろぉ」
机の上に突っ伏したままだった綱吉が右の頬を机に押し付ける形で左を向く
視線の先には、黒服と長髪
「骸、いつまで伸ばすの?それ」
霧の守護者、六道骸
「あぁ、これですか…復讐者‐ヴィンディチェ‐にいる限り、切ることはできませんしねぇ」
「…あぁそっか、そのままの姿なんだ、それ」
「えぇまぁ」
骸の本体は、未だに復讐者にある
いくらボンゴレに勢力があれど、復讐者に刃向かったら最後、何がおこるか知れない
「いい加減、取り戻してやりたいんだけどな…」
「…いつまでもそんな甘い事言っているんじゃありませんよ、君はもう、全世界の頂点に立っている人間なんですから」
「そんな自覚もないし…」
「クフフ…まぁ、でも―――…」
「骸…?」
「本当に君は、いつまでその甘さを保っていくつもりなんでしょうね」
先ほど、恭弥が持ってきた報告書を見る
内容はやはり、復讐者に関するもの
守護者だけで秘密裏に進めている骸を復讐者から解放するための計画
骸自身、そんなつもりはないようなのだが…
「やっぱり、自分の体のほうが良いだろ?」
「それはそうですけれど」
「それはクロームの体なんだ、いつまでも迷惑かけるわけにもいかないし…」
「彼女の内臓は、すでにボンゴレの医療技術によって着々と元に戻りつつありますからね」
「だからって、もうマフィアとは関係のないところへ出すわけにもいかないし…」
「このままが一番安全なんですよ…僕は、復讐者の中にいたほうがいろいろと安全かもしれませんよ?」
「こうやって、自由に外に行き来してるやつに言われても説得力がない」
骸の手から報告書を奪い取って、目を通し始める
綱吉は、一度集中すると話しかけても反応してくれなくなっていた
ただ、殺気には敏感なのだが…
「…綱吉くん」
反応してくれないのを知っていて、呼びかける
あぁもう、実体化してる余裕はないらしい
さらさらと、幻覚の崩れていく感覚
「僕なんかのために無理しないでください、最近眠るのを惜しんでこの計画を遂行しようとしているのは知っています」
どれだけ話しかけても、聞いてはいないだろう
それでも構わず、骸は話し続ける
「ゆっくりでも良いんです…ただ、体を取り戻す事が叶ったのなら…はじめに君を抱きしめさせてほしい」
綱吉が自分のために頑張ってくれているのなら、自分も綱吉のために何かできることはないだろうか
今の骸の状況では、それは叶うこと罷りならないのだが…
「そうしたら、どんな命令だって聞きましょう…君のためなら、死ぬまで君の傍にいます」
身を犠牲にはできない
だって、体を取り戻すために、綱吉は頑張っているのだ
それなのに、身を犠牲にしてしまったら、意味がない
「そろそろ帰りましょうか、また、力が回復したら…逢いに来ますよ」
目を閉じて、幻覚をとく
「愛してますよ、綱吉くん」
口だけを動かして、何かを伝える
ふ、と骸の気配が消えた
次の瞬間、ソファーに横たわっていたのはクローム髑髏の姿
膨大な力を使うためか、疲れて眠ってしまっている
「―――…」
顔を上げて、クロームの姿を確認すると、綱吉は防弾ガラスでできた窓の外に広がる大空を見た
骸の思念が、風に流されていく様子が見えた気がする
「…ゆっくりなんて、待ってられないよ」
―――早く、お前の体を取り戻してやりたくて、俺は中学を卒業してすぐにボンゴレに来た
「なのに、その目的を先延ばしにすることなんて、できないだろ」
反応しないだけで、聞いていないわけではないのだと、綱吉は息を吐く
今しがた、骸がいた場所に目をやった
「……俺だって」
お前のこと、愛してるんだからな
―――お前だけが想ってるわけじゃないってこと、知ってるくせに!
それでも恥ずかしくて、本当のことは言えないんだ
fin...