復活CP小説

□accontentare
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「“何でも一つだけ願いが叶うとしたら、何を望みますか?”」

「―――…は?」

「あぁすみません…昨日綱吉くんが持って来た日本の雑誌に書いてあったもので…」

「骸って意外とそういうの好きだよな?」

「僕の趣味ではありません、綱吉くんが勝手に持ってくるんですよ」

「あーツナなー、毎日来てんのか?」

「…あなたは、いつも唐突に来ますけれどね…一体今日は何の御用ですか?」


扉を開いて、骸が居るであろうリビングへ歩く

案の定、ソファーに仰向けで寝そべって雑誌を読んでいた

声をかけようとしたら、先ほどの言葉

思わず、挨拶も何もなしに会話を続けたが…


「おはよ、骸」

「あぁ、もう朝なんですね…おはようございます」


この部屋にいると、時間の感覚が鈍る

昼も夜も関係なく、骸は今、不規則な生活を送っている

何不自由無く過ごせるからこそ、骸は日に日に痩せている様に見えた

たまに連れ出して、太陽を浴びせて、お腹一杯ご飯を食べさせるようにしているけれど…


「骸…また痩せた?」

「気のせいでしょう…こんな不規則な生活をしてるんですから…逆に太ってると思うんですけれど」

「飯、食ってんのか?」

「お腹がすいたら、食べるようにしていますよ」


滅多に外に出ない

動くことも無い

時間の感覚も無い

これでは、いつか身体を壊してしまう

分かっているけれど…軟禁することで、復讐者から逃れられている


「さっさと着替えろ、今日は腹いっぱいになるまで食べさせてやる」

「はい?わざわざどこへ…って、そういえば今日はどうしてそんな正装を…」

「今日はパーティーがあるからな、お前も行こうぜ」

「……僕が、最重要危険人物ランクAオーバーって事知ってますよね?」

「知ってるよ、でも…オレの恋人として、一緒に来て欲しいんだよ」


そういいながら、骸の後ろ髪を手にとって上目遣い気味にキスを落とした

う…、と言葉を詰まらせて頬を染める

ぺち、とディーノの頬を叩いた


「生憎と…僕は貴方の恋人に見えるような人間ではありませんよ」

「何言ってんだ、こんなに美人なのに」

「…あなたは、いつもいつも…、っ――」

「――…ほら、早く着替えろって…」


文句を言おうとした口を、ディーノのそれが塞いだ

何か言いたそうに口を鯉のようにパクパクさせている骸の顔は真っ赤に染まっていた

思わず笑って、おでこにもキスを落とす


「服は、オレが前に買ってやったやつな」

「なん…っ」

「文句は言わせないからなー」

「――っ、あーぁもう!わかりましたから…少し待っててください」


そういって立ち上がると、寝室の方へ消えていく

今まで骸が座っていたところへ腰掛けた


「あー…あいつ、覚えてんのかな」


ぼそ、と呟くと、目の端に移ったのは先ほどまで骸が読んでいた雑誌

なんともなしに、パラパラと捲ってみた

昨日、綱吉が持ってきたと言っていたがやたらと折り目がついているページが目立つ


「骸がつけたのか…?」


パラパラとめくっていると、開き癖の残るページが開いた

バレンタイン特集

チョコ好きの骸らしいと思って、思わず苦笑を漏らした

日本のお菓子業界の陰謀だとしても、骸ならほいほいついていきそうだ


「まったく、オレはチョコ以下か…?」


苦笑を漏らしながら、ページをめくる

目に入ったのは、心理テスト

先ほど骸が言っていたものがそこにあった


「これ、か…」


―――もし、何でも願いが一つだけ、叶うとしたら…貴方は何を望みますか?


願いは、自分で叶えるものだ

なんて、思ってしまうのはこういう世界に居るからなのか…

あまりにも夢の無い自分の答えに、ディーノは自嘲するように眉をしかめた

骸は、一体なにを望むのだろう

訊かなくても、わかる気がする

侮蔑するように“マフィアの殲滅”と答えるであろう
 
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