少年陰陽師

□願い
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昌浩、お前は知らないだろう。俺がどんなに救われたことか。
その返しに、お前のために力を貸そうと心に決めた。

人間の寿命は儚く散ってしまう。
そんなこと等分かっている筈(はず)なのに、その理(ことわり)をどうにかしたいと思う、それは変なのだろうか?
十二神将である俺は願っては駄目なのだろうか。
もし願うことが出来るのならば、少しでも多く昌浩の隣にいたい。
それは結局、俺のえごなのだろうが。











「もっくん。廊下に座って考え事?」

ぴくり、と物の怪は肩を震わせ、目を見張る。
昌浩の気配に気がつかなかった。
顔をあげてみると、心配しているのか固い表情の昌浩がそこにいる。


「…あぁ」
「えっ何を?」

隣に腰を落ち着かせ、昌浩は訊く。
物の怪は暫(しば)し黙って言うべきかと考えた。だが、教えない事にする。

「内緒だ」
「教えてくれたっていいじゃんかよ」

口を尖らした昌浩を横目で眺めやり、微笑む。

「あっ今、もっくん笑ったろ!」
「笑ってない、笑ってない」

方前足を左右に振り、物の怪はにやりと笑いうそぶいた。










少しでも、長く。
少しでも、お前の側に。

…そう願う。



fin.


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