少年陰陽師

□未定
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ふ、と目が覚めた。
まだ辺りは暗く、朝が来ていないことが分かる。
十二神将であるためか、人であらざるもののためか、夜でも見通す目を持っている。
そのため、横を見やればすぅすぅ、と規則正しい寝息をたてている昌浩がいるのを確認できる。
起こさないように起き上がり、前に進もうと一歩足を踏み出す。が、それしか前に進まず、首を傾げる。
後ろを振り向き、原因が知れた。
昌浩が物の怪の尻尾を掴んでいたのだ。
物の怪は小さく苦笑する。
昌浩の手を取り、一本ずつ離していこうとしたが強く握っているため無理だ。
どうしようかと頭を巡らせる。

「ぅう…ん……」

寝返りをし、昌浩は物の怪と違う方向を向く。
そのせいで、あれほど強く握り締めていた尻尾を離した。
好機と判断し、からり妻戸(つまど)を器用に開けた。
冷たい風が自分の毛並を揺らす。
十二神将である物の怪は寒さなど感じはしない。
昌浩のことを思い、速攻に戸を閉める。
閉めた直後、空を仰ぐ。
綺麗な月が出ていた。淡い光が射し込み、物の怪に陰を作る。
庭に出て築地壁に登り、ひょいと屋根に上がる。
屋根に上ると、物の怪はいつもの特等席に腰を落ち着かせた。
 

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