D.Gray-man
□昼下がり
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空には雲一つなく、剥(む)き出しの太陽が照っている。
開いてあった窓から風が忍び込んだ。微風だったが赤い前髪が揺れた。
「……ビ…ラビ…」
自分の名を呼ぶ声がする。何処かで聞いたことのある声。
だが寝ぼけ頭では認識出来ない。
ラビはのろのろと目を開けた。視界が霞(かす)む。
「…ん?誰」
「アレンです」
先程の声はアレンだったのかと納得し、また目を閉じる。
アレンは、ふと窓を仰いだ。雲一つ無く青い空だ。
「綺麗ですね空。昨日まであんなに曇っていたのに」
「で、なんかあった?」
「コムイさんから、ラビに室長室に来て欲しいと言われました」
今いる場所は教団の談話室。
ラビはソファーに横になりながら、口を押さえ大仰な欠伸を一つする。
そして肘(ひじ)に力を込めてむくり、起き上がった。
「ん〜分かった」
生返事をし、いつの間にかソファーの下に落ちていたバンダナをかぶり直す。
昨日は任務のせいで寝ることが出来なかった。もう少しばかり寝ていたかったが、仕方ない。
そう思い、ラビは座っていた状態から立ち上がった。
指を組み、腕を上に上げ伸びをする。もう一度欠伸がでた。