D.Gray-man

□昼下がり
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室長室に着く。
二、三回扉を手の甲で叩いた。
どうぞ、と言ったコムイの声が聞こえ扉を開ける。
入った瞬間、本や書類やらで床が埋まっていた。今に始まった事ではなく、ラビが教団に入った頃も此処(ここ)は散らかり放題だった。
そんな事を思い出し、苦笑する。
ラビは殺伐とした床を踏みながら、室長の机に向かっていく。

「コムイ、なんか用さ?」
「あぁ夜中に任務から帰ってもらったのに悪いね、実は…」

少し間を開け、コムイは立っていた状態から室長の椅子に座った。
それから机に両肘を立てて、指を組みその上に額(ひたい)を置く。
コムイの固い声にラビは真剣になる。

「……僕の…、僕のリナリーがリナリーがいないんだよ!半日も会ってないんだよ。僕のリナリィィィ…」
「…は?」

ラビは鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。
コムイは顔の左を机の下に埋め机ををだんだん、と叩いた。
机には書類が何十枚にも重なりあっている。
その書類はコムイが叩いたせいで数枚ひらひら、と床に落ちていった。

「リナリィィ…」

尚も言い続けるコムイの目からは大粒の涙がこぼれていく。
不意に顔を上げた。
コムイの目からは涙が滴り落ち、鼻から鼻水がでている。

うわっ、不細工…

心中でラビは思ってしまった。

「ラビ、リナリー知らないよね…」

こくり、とラビは頷き肯定した。
後ろから扉が叩く音が聞こえた。

「…どうぞ」

力無くコムイは返事をする。
入って来た人物にコムイは目を見張った。

「リナリー!」

先ほどまでの元気の無さはどこへやら。
椅子からがばっ、と立って一目散にリナリーの所に向かった。
そんな様子を見ていたラビは溜め息一つ吐いた。



fin.
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