短編

□僕だけのものに…
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目の前に出された選択肢に日番谷は目を見開いた。

自分が抵抗をすれば市丸は躊躇いなく瞬歩で五番隊へと行き大事な幼馴染を殺すだろう。
以前もその刀で雛森を刺し殺そうとした男だ。
この状況で出られては自分はきっと追いついて雛森を護ることなど出来ない。
そんな選択、はじめから出来るはずがないのだ。


震える唇が言葉を紡いだ。


「……わかった、虚園に…行く………」




市丸は自分が『玩具になる』と言っていた。
それが何を意味するのかわからない日番谷ではない。

隊長とかそんなことではなく、“そういう意図”で自分は連れて行かれるのだ。

けれどもこうなってしまっては何を選んでも同じ結末しか待ち受けていないだろう。
雛森だけじゃない、きっと市丸は他の様々な犠牲を出して最後にはきっと自分を力ずくで連れ去る。

だから大人しく、日番谷は市丸に従った。




(松本、雛森、みんな―――ごめん)


出来れば井上織姫を救出し、内側から虚園を潰そうと思った。

けれどもそんなこと、小さな自分には出来得ないのだろうとも思った。



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