偲遊記
□第二の刻 大地の子と蒼天の少女
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少女が起きたことを三蔵に教え、
悟空は一人外へ出た。
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「“起きたよ”と言われても・・・。」
悟空に“起きた”と言って連れてこられた少女。
ただそれだけだったら、
まだ三蔵もどうにか“話”くらいは出来たかもしれない。
しかし、悟空は“遊びに行って来る”と言って、
外へ出る直前に
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『そいつ話せないから。』
○ ● ○ ●
と言って、三蔵の返答も聞かず、
行ってしまっいたのだ。
「う―・・・。」
困ってしまった三蔵は唸りつつ、
部屋の隅でペタリと座っている少女を見る・・・つもりだった。
しかしそこに少女の姿はなく、
少女は三蔵の座っている椅子の隣で、
ペタリと冷たい床に座り込んでいたのだ。
「わっ?!」
驚き、慌て、三蔵は椅子に座ったまま後ず去る。
と言っても、椅子に座っているので、
数cm後ろにバックしただけだったが・・・。
「・・・・・。」
少女は三蔵のそんな行動を何の感情もなく一瞥すると、
スッとどこからか銀のリングを取り出し、
三蔵の手のひらにコロリと転がした。
「これは?」
己の手のひらで光沢を放つ銀の指輪と、
それをくれた少女を交互に見る。
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