偲遊記

□第四ノ刻 忍び寄る影 (前編)
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「・・・。」

「そうだな・・・俺も疲れた。」

 無表情且つ、無言であるが、
トリの素直な感想に三蔵は少しばかりほっとした。
 先刻の戦いがあって、
皆まだ気を張っている。
いつもは仲のよい八戒と悟浄もほんの数秒前までけんかをして・・・
ぎすぎすした雰囲気だった。
 しかし、(八戒と悟浄には聞こえていないが)トリの声により、
そんな空気が一編にどこかへ行ってしまったのだ。

「フッ・・・ねぇお師匠さん。
今日はこの町で休憩にしない?」

口元を軽くゆがめ、
笑う悟空は背負う三蔵に問う。

「賛せーい!!」

 喜び、挙手するは悟浄。

「そうですね。
お師匠様の体力回復が優先ですし。
・・・悟空とお師匠様とトリは先に宿屋へ行ってくれませんか?
私と悟浄でどこかの料理店を予約してきます。」

悟浄に続き同意した八戒は、
町の入り口と言える門の前で立ち往生している皆に提案する。

「了解。宿決まったらトリを迎えによこすから・・・。」

悟空の同意と無言ではあるが三蔵とトリの同意により一行は一旦二手に分かれて町へと足を踏み入れた。





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