偲遊記
□第四ノ刻 忍び寄る影 (前編)
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「なるほど・・・だから此処へ来るまでに沢山の妖怪が襲ってきたんですね。」
納得しつつ、己の前に追いやられた悟空の食べた丼を積み重ねる八戒。
「でも・・・・何故このような物が・・・」
再び玉露を手に取りつつ、
三蔵は紙切れを一瞥した。
「・・・。」
「『天竺へ行くのは三蔵でないといけない・・・。』三仏神が言ってた奴か。」
ようやく食べる事をやめた悟空はトリの呟く言葉に反応する。
「まだまだ分からないことばかりですね・・・。」
八戒はそれ以上先は分かりませんと言うように、
“はぁ・・・”とため息を吐いた。
「三仏神様にも何か考えがあるのでしょう。まだ分かりませんが・・・。」
「とりあえず考えたって今はまだ無駄ってことだ。」
アレだけの量を食べたにもかかわらず、
膨れぬ腹をくっと伸ばしながら悟空は天井を眺める。
「おい。貴様。」
第四ノ刻・忍び寄る影(前編) 了
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