偲遊記

□第八ノ刻 奇妙な妖怪
1ページ/8ページ



 第八ノ刻


 あの事件から二日後。
三蔵の体もだいぶ良くなり、
5人は再び天竺を目指して町を出た。

「それにしてもあの男はなんだったんでしょう?」

最後尾を歩く八戒が問う。

「さぁ?分かるのはあいつは露出狂で、
そいつの話をすると悟空が不機嫌になるってことぐらい。」

答える悟浄に合わせ、
八戒は悟浄と先頭を歩く悟空に目を向ける。
先刻の会話が聞こえていたのだろう。
見る間に悟空の不機嫌メーターが上がっていくのが手に取るように分かる。
見えはしないが、
悟空に黒い炎のようなオーラが見える気がした。

「悟、悟空?わ、私はは大丈夫ですから・・・。」

 おどおどと話す三蔵には先刻の話が聞こえていなかったのだろう。
赤子のように悟空に己の手を引かれ、
先刻から三蔵はどうにか悟空に手を離してもらえるよう頑張っていた。
ふっと、悟空のどす黒いオーラが一瞬にして消えさる。

「駄目だよ。お師匠さん。
ホントは負ぶいたいくらいなんだから。」

そう答える悟空の背にはすやすやと眠るトリ。
それに―・・・と続ける悟空。

「いつかあいつは絞める!
分かってんだろうな?八戒!悟浄!」

それだけで人一人葬れるんではないかと言うほどの殺気と怒り含んだ瞳で、
悟空は後ろの二人へと忠告した。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ