今、ここにいるから

□Scene.2
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目を覚ますと、自分の部屋のベッドで寝ていた。

私…何でここにいるの?
だってマンションの7階だよ?
生きているはずなんか無いのに…

「あ、起きた?」

声の発せられているほうを見ると、びっくりした。
そこには、もうひとりの私がいた。

どういうこと…?
なんであなたは“私”なの?

その疑問を察したのか、彼女は言った。
「あたしは天使。あんた、そこの窓から飛び降りたの、覚えてる?」

…はい?
今なんて言いました?

「だから、天使だよ。何度もこの台詞言わせんな。恥ずかしいんだぞ、コレ。」

そんな天使いるんだ…
その前に天使っているんだ…
…ってか心読んでます?

「全部声に出てるよ。まぁ、読めないことは無いけどね。つか、質問に答えてよ。」

「覚えてますけど…なんで、ここに私がいて、あなたが私の姿をしてここにいるんですか?」

「長ったらしい説明は面倒だから、簡潔に言う。
あんたはまだ生きてるとも言えるし、死んでるとも言える。
つまり、あんたが選ぶことができんだよ。」

すみません、まったく訳が分かりません。

「だーかーら、自殺を図って実行に移した人間には神様からチャンスを与えられんの。一回だけね。
生きるか、このまま死ぬか。
それを選択するときに、天使が派遣されて、しばらくその人になる。
だから、まだ死んだことにはなってない。
この先、どういうふうになるのか、自分の目で確かめるんだよ。」

「私は…進むのが怖い。だから…」

「選択はまた後で聞く。ついてきな。」

言葉を遮られ、私は天使(?)に手を引かれて歩き始めた…


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