今、ここにいるから
□Scene.4
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それからいろんな所に行った。
懐かしい母校、私の夢が叶った瞬間。
「これで最後ね」
そう言ってシヨはまた指を鳴らした。
目を開けると見たことのない街。
「何、ここ?」
人もいなければ家もない。
動物もいなければ植物もない。
ただ一つ、あるのは古い石垣だけ。
「ポンペイって聞いたことない?」
「小さい頃に何かの本で読んだような…」
「あんたの時代から約2000年前、
あそこにある山が大噴火して、火山灰や噴石が大量に降り積もってポンペイの街は滅んだ。」
「…………………」
「さっきあんたの未来を見せたけど、あれは、あんたが生きていたら行動する、一つの例に過ぎない。
あんたが行動する通りに未来も動いてく。
未来ってのはね、過去、現在、未来の中で一番脆く、儚いもんなのさ。
命がなくなったら、あんなにたくさんの可能性があった未来は一瞬で無くなる。
だけどね、そんな弱い未来に、人は希望を持ち続けるんだ。」
シヨがそう言うと、なぜか目の前が真っ暗になった。
「沙雪、そろそろ終わったかぃ?」