05/22の日記

18:24
【橙薔薇(オレンジローズ)を添えて】(赤新)
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組織壊滅後。片想いを終わらせる。


赤新(コ)、降(安)新(コ)はROM専でしたが、最近赤新(コ)にどハマり中でとうとう描きたい意欲が爆発して描き切りました。
赤井さんに「俺のホームズ」って言わせたかった。

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ドキドキする。胸が騒ぐ。
これが、好き、という感情。
目の前に居る人に気付けば恋に落ちていた。
けれど、俺は今日その感情に蓋をするー





FBI、CIA、公安、MI6 etc. 各国の捜査機関を巻き込んだ黒の組織と闘いが終結し、江戸川コナンは工藤新一に戻った。
新一は待ち望んでいた生活を取り戻したが、変わったこともある。探偵としてのスタンス、そして、初恋の終わり。
APTX4869で子供の姿で毛利蘭と関わることで、いつしかゆっくりと幼き恋は家族愛へと変わっていったのである。
コナンとして過ごした日々は1年余りであったが、新一自身を著しく成長させた。
それは、相棒、共犯者、協力者、好敵手etc.様々な出会いがあったからこそである。
かけがえのない人達の中で、彼を好きになったのは偶然か必然か。
彼は同じシャーロキアンで、子供の身でも対等に扱ってくれる数少ない人で、それでいて図らずに頼れる人。多くは語らない人だけど、たまに呟く言語に、浮かべる表情に、どうしようもなく惹きつけられる。
組織を根絶やしにするため、中心部を壊滅させてからの約半年間、FBIや公安の各捜査機関は残党の摘発に力を注ぎ、全ての処理を達成した。
その間、新一や志保を組織から護るため、赤井や降谷は警護をし、赤井は工藤邸を拠点に置いていた。
それが今日終わりを告げる。


「明日、帰るんですね・・」
「ああ」

工藤邸のリビングで、夕食を終えてお酒を飲む赤井を見て、深々と考える。

「ボウヤ?」
「コレも一緒に飲みましょ」

出したのは、“シルバーブレッド”。2人にとって縁深き酒。

「ボウヤにしては洒落ているな」
「でしょ」

笑い合いながら酒を交わす。
今日が一緒に居れる最期。明日は空港には行かない。じゃないと決心が揺らぐ。

「君は卒業したらどうするんだ?」

「まだ考え中なんですよ」

「そうか」

「ええ」

来て欲しいなんて言われないか・・・。期待していなかったわけじゃない。
心の中で物悲しげに微笑む。



「ん、」

いつの間にか寝てしまったんだろう。
目覚めれば、ベッドの中に居た。どうやら赤井がベッドまで運んでくれたようだ。
まだ夜明け前の時間か。
自分の部屋を出て、ふと彼の居る部屋が視界に入る。自然と引き寄せられるように向かい、ドアをソッと開く。

「赤井さん・・?」

返事はない。寝ている彼にゆっくりと近付く。
正常な呼吸音が聞こえる。無防備に晒されている寝顔。歯止めはもう効かなかった。眠っている彼の唇にキスを落とす。

「・・さよなら」

それは小さな小さな声だった。吐息が漏れる、それぐらいの音。
翌日、何もなかったかのように振る舞って、玄関で見送ったー





あれから、新一はイギリスの大学留学を決めた。アメリカはあの時から既に候補から外していた。
あの人を忘れるために。
自分も男。相手も男。何よりもあの人には忘れられない亡き愛しい恋人がいる。不毛だ。
どうか遠く離れた地で、幸せを祈っている。

『ただいまより、ロンドン行き日本航空43便9時35分発の搭乗を開始致しますー』

空港アナウンスが流れる。いよいよ出発だ。キャリーケースを持って進む。
あの人と出会い、あの人と過ごした、この日本ともおさらばだ。
つい、感慨深くなり後ろを振り返る。行き交う人達を眺め一息吐く。未だにあの人のことを考えている自分に苦笑する。
気を取り直して前に向き直り、歩を進めようとした。
・・・けれども、出来なかった。
目の前に立っている人物に驚愕し、足は縫い止められたかのようにその場から動けず、凝視した。

「!?あか、いさん・・・」

どうして此処に・・?
居るはずのない、赤井秀一がそこには居た。

「なに、ボウヤに会いにね」

「っ、そ、そうなんですね、それは嬉しいですが、今から俺は・・「イギリスに行くんだろう?俺も行く」・・何言って・・」

いつもなら働く頭が上手く働かない。
なぜ、俺に会いに来た。なぜ、イギリスに行くことを知っている。なぜ、彼もイギリスに来るんだ。
分からない。頭の中はクエスチョンだらけだ。
混乱する新一の感情でさえ読み取っているかのように、赤井はフッと笑みを浮かべ話し続ける。

「FBIを辞めてきたんでな」

組織壊滅により赤井の悲願は達成した。FBIで居続ける意味はない。
何よりも、赤井は、

「君のワトソンとして傍に居させてくれないか?」

新一の傍に居たかったのである。

「でも、俺は、」

「眠っている男にキス1つで何もかも終わらせようとするなんて寂しいじゃないか」

「!?なんで、あの時起きてっ!?」

「ああ」

更なる爆弾を投下される。バレていないと思っていた。なんで今まで何も言わなかったんだ。

「少々腹が立ってね。俺との縁を切ろうとするボウヤに」

「っ、」

取り乱す新一に、何もかも理解している赤井が畳み掛ける。

「全く、俺の気持ちも蔑ろにして。気付いてなかったろ?俺が君のことが好き、いや、愛していることに」

「え?」

空耳だろうか。

「赤井さんが俺を好き?え、嘘だろ・・」

「嘘じゃない。君は本当に自分のことに対しては頗る鈍感だな。何度でも言おう。ボウヤ、愛してる」

「!?///」

信じられないまま、愛の言葉が紡がれる。新一は自分の顔が熱くなるのを感じた。
でも、それ以上何も応えられない。どうしたらいいか分からない。
躊躇う新一に、それさえも察した男は告げる。

「君はこの手を取りさえすれば良い。俺のホームズ」

迷うことなんて何もないと、手を伸ばしてくる赤井に、もう新一は考えるのを放棄した。ただ素直に自分の本当の気持ちの赴くままに動く。
赤井に向かって勢いよく抱き付く。それを赤井は優しく受け止める。そして、どちらかともなくキスをしたー


END

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