捧げ物小説
□【交わすのは確固たる証】(スレナルイノ)
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嗚呼、なんて幸せなんだろうか。
目に映る光景に、そう思えて仕方なかった−
「イノ、」
火影の執務室に書類を届けに来たイノに、俺は声を掛ける。
今、執務室にいるのは俺とイノだけ。
「何ですか、火影様?」
「結婚しないか?」
告げたのはずっと言いたかった言葉。
それはイノとこの先を見ていきたいという俺の願いが籠もった言葉。
「え?」
俺が告げた言葉に、呆けた顔でこちらを見るイノ。
俺はもう一度笑顔で同じことを告げる。
「結婚しよ、イノ」
そういった直後、イノの目から涙が溢れ出た。
「これ、変じゃないか?」
「ううん、カッコいいよ」
あれからイノに承諾をもらい、俺達はイノの親に二人で挨拶することになった。
当たり前であるが、こういうことに慣れてない俺は、
正装した姿を何度もイノに確認してもらう程、変に緊張している。
我ながら情けない。
けど、こんな俺も悪くはない。
そう思えるようになったのはやはりイノのおかげで、
俺は小さく苦笑にも似た笑みを浮かべて、敷地内へ足を踏み入れた。