妖怪貴族

□五ノ舞 敵襲
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「片付ける…じゃと?抉目鼠様にお仕えするワシを討てると思うておるのか?」

大輔は呆れたようにため息をつき

「それは此方の申す事じゃ、名もなき長崎妖怪よ」

と、軽い挑発を入れた

「長崎妖怪を侮るでないわ!!ワシは二尾鼠様じゃ!!この田舎妖怪めが!!」

二尾鼠と名乗った妖怪は挑発に激昂して襲い掛かってきた

「田舎妖怪は貴様の方じゃ」
大輔は刀を左手に持ちかえて二尾鼠を斬った

二尾鼠はその場に倒れ、大輔を睨み付けた

「貴様…刀を左手…で持ちおって…!!妖の恥とは思わぬのか!?」

「思わぬな」

全く動じない大輔に

「図に…乗るで…ないぞ…若造!」

と、捨て台詞を残して消えていった

「大輔様…」

桜丸に呼ばれ、我に帰ったように振り返った

「僕…生まれつき左利きでさ…家族とか幸とか一族の皆は、気にする事はないって言ってくれるんだけど」
気にする事はないと言われていても、大輔は少々気にしているようだった

「ボクも気にすることはないと思ってるよ」

「でもね、敵と戦う時は絶対さっきみたいに左利きの事を言われるからちょっと気にしてるんだよね…」

瑞城一族の中でも左利きであるのは大輔のみ…

いくら一族の妖怪に「気にする事はない」と言われても大輔にとってはどうしても気になってしまう事なのだ

「つばきの所に戻ろっか」

大輔は吹っ切ったように言った

「うん」

大輔と桜丸はつばきの待つ牛舎に戻った

「ただいまぁ〜」

桜丸は元気よくつばきの元へ駆けていった

「おかえりなさい」

つばきは、起きたら自分の子がいなくなっていたにも関わらず特に怒っている様子もなく我が子を受け入れていた

桜丸には、その事が不思議で仕方がなかった

大輔はその様子に気が付いたのか

「つばき、僕の羽置いといたの気付いた?」

と、つばきに問い掛けた

「えぇ、大輔様の羽が置いてあったのを見て、ここに来たんだなと分かり、桜丸と大輔様の帰りを待っていました」

つばきは「大輔様と共にいるなら」と安心して待っていられたのだ
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