妖怪貴族

□次ノ舞 賭事
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大輔一向は屋久島へと向かう船の中にいた

「失礼致します」

植物一族の長と思われる女性が大輔のいる部屋に入ってきた

「植物一族の長をさせていただいております、森奴と申します」

森奴は大輔に対して深々と頭を下げた

「鳥妖怪の瑞城大輔です、森奴さんのお噂は私も聞き及んでおります」

大輔も挨拶をした

「浩輔、冷、河童、みう、くろ君たちも挨拶して」

大輔は浩輔達にも挨拶をするように言った

「鳥妖怪の若葉浩輔です」

「雪ん子の冷です」

「河童と言います」

「海猫のみうです」

「闇猫のくろです」

皆が挨拶をした

「あと一人居るのですが病の床故にこの部屋に居ない事をお許しください」

幸は同行していたが、病の床にいるため、大輔達とは別の部屋に居たのだ

「幸様は我が一族きっての薬使い、大杉入道の霧霞とお彼岸娘の華が看病しておりますのでご安心ください」

「幸の所へ案内していただけますか?」

大輔は幸との面会を求めた
「畏まりました」

大輔一向は森奴の案内で幸のいる部屋に向かった

「幸!」

大輔は幸のいる部屋に入った

「大輔様…!!…痛っ…」

雪は起き上がろうとしたが発熱による痛みで起き上がれないようだ

「幸様、無理はなりません!」
「華さんの言う通り、無理をしてはいけない、寝ていなさい」

大輔は優しく語り掛けた

「幸様、お薬をお持ち致しました」

大杉入道の霧霞が玉のような形をした薬を持ってきた
「霧霞さん、その薬はもしや…」

大輔はその薬に見覚えがあった

「その通り、戻目珊瑚です」
戻目珊瑚とは、汚れのない屋久島の泉のみで育つ薬になる珊瑚である

「やはり…父も今飲んでいますし、私も幼い頃に飲んだ事があります」

抉目鼠に目を抉られた者や大病を患った者に効く薬…それが戻目珊瑚だ

「大輔様…そんなに凄い薬って事は、相当苦かったり…」

「逆だよ河童、戻目珊瑚は凄く甘いんだ…むしろ、甘い薬である事が最大の特徴とも言える」


戻目珊瑚は屋久島の清らかな水と人々の優しさに触れて育つ為か、とても甘い薬になる
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