妖怪貴族

□番外ノ舞 疑問
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瑞城家の屋敷の一角…一羽の鳥が長い廊下を歩いていた

しかし、不思議な事に屋敷に住まう者に驚く様子は無い

寧ろ、敬語で話掛ける者もいる

「おや?大輔様、どちらへ?」
話掛けられると、鳥は立ち止まった

立ち止まった直後、鳥は白い霧を放ち、人の姿になった

鳥の正体は瑞城一族の次期当主・大輔だ

「ちょっと、幸の部屋にね」
幸とは、瑞城家の屋敷に住まう座敷童子だ

「ゆ〜きっ!」

大輔は気配を消して後ろから幸に抱き付いた

「きゃあっ!!…大輔様、悪戯が過ぎますっ!!」

「だって、幸の他に驚いてくれる人いないんだもん」

大輔は少し膨れっ面になった

「どうなさったのですか、私の部屋にいらっしゃるなんて」

大輔が幸の部屋に来るときは大抵、幸と二人っきりで話したい事がある時なのだ

「僕って人間で言と20歳だけど、妖怪の年齢だと何歳位になるの?」

「妖怪の年齢でしたら、大輔様は今年で丁度、80歳です」

「やっぱり、人間より年取ってるんだね」

大輔は不思議そうに呟いた

「幸は何歳なの?」

大輔は幸にも歳を聞いた

「私は、妖怪の年齢も人間の年齢も大輔と同じですし、浩輔様も同い年ですよ」

「ほんとに!?」

大輔は目を輝かせ、嬉しそうに笑った

「でも…何故いきなり年齢を聞かれるなんて…何かあったのですか?」

幸が聞くと大輔は懐かしそうに語り始めた


「幸は…高校の図書室の先生の丸川先生って覚えてる?」

「大輔様と浩輔様と私が、妖怪であると知っていた唯一の先生ですよね」



大輔と浩輔と幸が高校に通っていた頃、校内で一人だけ、三人が妖怪だと知っていた人間がいた

それが図書室の先生・丸川である
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