■5F:はてなの文庫・伍
□◎城・弐
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時には、桐谷と、鈴のコンビに、晋作と言うもう一人の奇人?いや、狂人が加わっていたこともあった。
あの時もそうだった。
高校の文化祭前日。
教師から、<平凡なる非凡>の石碑の話を聞かされ、無性に腹立っていた日だ。
鈴と桐谷のコンビとは、自分は、その学年では同じクラスではなかった。
ただ、1、2年生の頃は、同じクラスであったため、この奇人達の行動をつい、目で追う癖がついてしまっていた。
そのため、自分は移動授業の途中、桐谷がまた授業をサボり、裏庭でくるくると回りながら、「キキキ。」と、狂喜乱舞していているのを、渡り廊下から見た。
なんか、楽しそうだ。
ひどく羨ましく見えた。
鈴は、木陰に胡坐をかき、これまた上半身をくるくる回しながら、にこにこと、桐谷が回っているのを見ていた。
こちらも、楽しそうだ。
つい、足を止め、そちらを見ていると、
「おい、ミッキー!早くしないと遅れるぞ!」
そうクラスメートのから言われ、はっと現実に戻り、そのクラスメートの後を追った。
クラスメートの桃井が、走りながら、振り向き、自分に尋ねてくる。
「なぁ、晋作が、さっきからいねぇんだけど、どっかで見かけなかった?」
「あれ?一太、一緒じゃなかったの?
あ…さっき、どっかで見たような…
あ!裏庭側の裏門のところにいた!
桐谷がキィキィ、なんか言いながら、なんか回ってた。
その横を通っていたような気がする。」
「あ、そうかー。いたんなら良いや。」
「おっ!ヤベ!美術遅れたら、大変だぞ!あのゴリラ、3分遅刻でハンマー投げてくっからな!」
「おぉ!そうだった!ハンマーは、彫刻用だろうがっつーの!ゴリラだから使い方知らねーんだよ。」
「だいたい、ウチでは彫刻教えてねぇだろうがっつうの!」
そんな、無駄口をたたきながら、渡り廊下を猛然とダッシュした。