仮面ライダーW
□こたつにM/それが欲しくてたまらない
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こたつには4人。
竜の前にもお雑煮が置かれ、一見すると賑やかなお正月なのだが…。
不思議な事に、誰一人笑っている者はいない。
「…オイ、照井。こりゃ一体どういう事だ?」
頬杖を付き、冷めた目で翔太郎が竜に問う。
しかしこういう場合、返ってくる返事はいつも同じで。
「……俺に質問するな…」
「声小っちぇ!!!」
「なるほど。照井竜も今回ばかりは相当ダメージを受けてるらしい…」
「…ったく、夫婦喧嘩ならよそでやってくれよ。そもそもお前ら、結婚してまだ1ヶ月も経ってねーだろ!」
「…所長、帰るぞ」
「ヤダ!私帰らない!」
「……」
亜樹子に拒絶され言葉を失う竜。
只ならぬ雰囲気に翔太郎とフィリップも何も言えず、無言のまま互いの顔を見合わせた。
「私には耐えられないの!あんな所には住めないわ!」
「何でだよ…別に狭い訳じゃねーだろ?引っ越し手伝った時に見たけど、普通に広かったぜ?」
亜樹子が何に対して怒っているのか、翔太郎には理解が出来なかった。
しかし、この発言が火に油を注ぐ結果となってしまい、亜樹子は机を両手で思いっきり叩いた。
「お、落ち着けって亜樹子……」
「冗談じゃないわッ!!いくら広かったってあんな…!あんなこたつのない部屋なんて住めるわけないでしょうが!!!」
しーーーん…。
「……は?」
まるで時間が止まったかのように辺りが静まり返った。
やがて、翔太郎が口を開く。
「……お前、今何つった…?」
「こたつのない部屋なんて住めないって言ったのよ!!」
未だ興奮しきりの亜樹子に、フィリップは右手を顎に当てて目を輝かせた。
翔太郎はと言えば、怒りに肩を震わせ爆発寸前だ。
「夫婦喧嘩のきっかけは“こたつ”?実に興味深い」
「全くちっとも興味深くなんかねぇッ!!…ったく、お前らなー!んなしょーもない事で喧嘩すんじゃねぇよッ!!」
ピクッ。
「……しょーもないですって…?」
「あ?」
「こたつがどれだけ素敵アイテムでしかもエコなのか…使っておきながらその素晴らしさに気付けないアンタに言われたくないわー!!!」
「えぇーっ!?(汗)」
何故か亜樹子に逆ギレされる翔太郎であった…。
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