仮面ライダーW
□こたつにM/それが欲しくてたまらない
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2012年1月1日。元旦。
鳴海探偵事務所にも例外なく正月は訪れていた。
「おはよう、翔太郎」
遅れて起きてきたフィリップがガレージから顔を出した。
「おぅ、フィリップ!やっと起きたか」
何やらせわしなく動いている翔太郎。朝ご飯の準備らしい
。
それよりもフィリップが驚いたのは、事務所内の飾り付けだった。いつの間に用意したのか、まさに正月ムード一色。ご丁寧にこたつまで設置されていた。
「これは…」
こたつの上に2人分の雑煮を置いてから、翔太郎はフィリップに向き直った。
「明けましておめでとう。相棒」
「お、おめでとう…?」
何とも頼りない返事に、翔太郎は眉をしかめた。
「…あ?お前もしかして、正月を知らねぇのか…?」
「いや、知ってるけど…実際に祝った事がないから…」
「…まぁ、去年は祝ってる暇なかったからな!その分今年は気合い入れたぜ!」
直接言葉には出さなくても、翔太郎の気遣いがひしひしと伝わってくる。フィリップの表情が自然と笑顔へと変わった。
「ありがとう。翔太郎」
「は!?…べ、別に感謝される程の事じゃねぇよ!ぞ、雑煮!食おうぜ雑煮!固くなっちまうからよ!」
予想外の感謝の言葉に、照れながら話題を無理矢理お雑煮に変換して、早々とこたつに移動する翔太郎。
そんな相棒をフィリップは微笑みながら見つめ、
「あぁ。そうだね」
と返事をして、自分もこたつへと移動した。
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