●仮面ライダーW×W●
□第1話 Wの危機/ドッペルゲンガー
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『午後1時になりました!
園咲若菜のHealing Princess
今日も元気130%でお送りします!』
日本のどこかに存在する、風の街・風都。
その風都には、ちょっと名の知れた探偵事務所があった。
鳴海探偵事務所。
かもめビリヤード場の二階に位置するこの探偵事務所には、警察では手に負えない、もしくは取り合ってくれない事件、悩みを抱えた人達が、捜査を依頼しにやって来る。
そして、それらの事件を解決へと導いてきたのが……
『それでは早速このコーナーからです!
“風都 ミステリーツアー”』
…アメリカンでポップな雰囲気漂う事務所内を、ラジオから流れてくる風都No.1アイドル、園咲若菜の爽やかな声が包む……のはさて置き、それらの事件を全て解決へと導いてきたのが、この俺……
『このコーナーでは、風都にまつわる都市伝説を、皆さんから寄せられた情報を元に探っていきますよ!』
この俺……
『採用させて頂いた方には、若菜のサイン入りポストカードをプレゼントしま〜す♪』
お、オレ……
『まずは、ラジオネーム“M”さんからの投稿です!』
「だーーッ!邪魔なんだよ若菜姫ーーッ!!」
スパンッ!
「あたっ!」
「何いきなり大声出しとんねんっ!!」
すっかり自分の世界に入っていた翔太郎は、自らのナレーションを若菜のラジオに邪魔されて、思わず椅子から立ち上がり大声で叫んだ。
それを、すかさず亜樹子が“やかましい!”と書かれた文字入りスリッパで突っ込んだ。
「いっ…てーなぁ!亜樹子ぉ!」
翔太郎が机を思いっきり叩いて怒りをあらわにした。
「何よ!昼間っからボーっとしちゃって!やる気あんの!?」
「あぁ?!」
そして、間を置かずに2人の言い争いが始まる。この鳴海探偵事務所ではよくある光景だった。
しかし、この風景は突如として終わりを迎える。
「静かにしたまえ2人共!ラジオが聞こえないじゃないか!」
フィリップである。
飽きっぽい性格である彼が、唯一ファンを続けているのが若菜姫こと園咲若菜だった。
普段はクールで物静かなフィリップ。そんな人物に怒られてしまった翔太郎と亜樹子は、呆れながらも素直に謝る他なかった。
「「はい…すいません……」」
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