TOA短編集
□ねこ探索隊!
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−グランコクマ−
「う〜ん! 久々の自由時間だし、何しようかなぁ〜」
二、三日グランコクマで休むことになり、ルークは気晴らしに街へと出て来ていた。
「ん? あいつ何してんだ?」
食材等が売っている店の前に、中に入るわけでもなくうろうろとしている一人の少年が目に入ってきた。
ルークはそれが気になったので、その少年に近付いて声を掛ける。
「おい、お前何やってんだ?」
「Σえ? え〜と…買い物を頼まれたから…」
「だったら、さっさと店に入ればいいじゃんか」
「うん。だけど…この子が居るから」
そう言ってその少年は、自分の足元に居た三毛猫を抱き抱えてルークに見せた。
「猫?」
「ぼくんちの猫なんだけど着いて来ちゃって…」
「猫って店ん中に入れちゃダメなのか?」
「うん。ここはダメなんだって…だから」
少年は俯いて猫をギュッと抱きしめた。
「よし! 俺が見ててやるよ。俺、猫とか大丈夫だし」
「お兄ちゃん、本当!?」
「ああ。だから買いに行ってきな!」
ルークが笑顔でそう言うと、少年は顔を上げて笑顔になる。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「ああ。俺はルークってんだ」
「ぼくはマルス。この子はクゥート」
「そうか。そんじゃマルス、行ってきな」
「うん!」
マルスはルークに猫を渡した。猫は人懐っこいようで、暴れることなくルークの腕にスッポリと収まる。
「ルークお兄ちゃん、クゥートをお願いね」
「ああ。任せとけ!」
ルークに大きく手を振ると、マルスは店の扉を開けて中へと入って行った。
「へへっ。ルークお兄ちゃんか…なんか良い響きだな」
「ンナァ〜〜」
「ん? どうしたクゥート。マルスが居なくなって寂しいのか?」
マルスが居る間は大人しかったクゥートが突然落ち着きがなくなり鳴き出した。
「ンニャーッ!」
「おいっ! ちょっ、コラ、暴れるなって!!」
「ニャーーッ!!」
「Σうわっ!!?」
クゥートはルークの腕から飛び出して、通りの路地裏へと走って行った。
「………どーしよ。逃げちまった…」