novel
□wine of mine
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「そうですわね・・初めてですものね。私も初めての時にはちょっと気分が悪くなりましたわ。・・・ふふっ、想像できませんか?」
なにやら楽しそうな様子からして、ずいぶん親しい人間と話しているのだろうことが伺える。
「はい、ではお気をつけて。こちらから迎えを出しますから・・・安心してくださいねvv」
語尾に黒いハートマークがついた気がするのは、気のせいだろう。
ラクスは手にしていた携帯電話をそっと閉じ、机上カレンダーを見つめた。
今月の『18』のところには赤いペンで2重マルがしてあった。
トントン
「はい、どうぞ?」
ノックの音に、ラクスは入室の許可を出した。そのドアの向こうから顔を覗かせたのはアスラン・ザラであった。
「お呼びでしょうか、クライン議長。」
アスランは現在、プラントで議員活動中であった。
今は勤務中であるからと、あくまで他人行儀なアスランに、ラクスは相変わらずだと笑ってしまう。
「はい、とっても大事な用事をお願いしたいんですの。」
「はぁ・・・大事な、用事ですか・・・。」
アスランは一瞬背筋が凍る。この目の前の彼女が楽しそうな時には、だいたい何かを企んでいるのだ。
「これからプラントに客人がいらっしゃいますわ。それもかなりのVIPでいらっしゃいますの。」
「VIP・・・・・。」