過去篇短編集

□Identity
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もちろん判っている。それは他でもない自分。



身の内に休む事の無い激しく煮える憎悪を持つのも自分。

こんなにも容易く残虐になれるのも自分。






――これでええ




自らの心身など只の目的の為の手段だ。それだけに在れば良い。



なのにフウと溜め息が出、ギシと心が軋む、でもそれは必要ない。






立ち上がり、冷え切って痺れた腕をダランと下げた。


途端に酷く腹立たしくなり故意に桶を蹴ると、バシャと不快な音を奏で波の形に土が黒く湿った。
ジワジワと問答無用に侵食するその様はギンの怒りを煽る。






―何人とか、問題やない







実に他愛なかった。今日も、先日殺した五番隊の三席とやらも。



一瞬、恐怖に顔を歪め口を開きかけて、終わり。
あれで上位席官とは笑わせる。






あの程度なのだ、死神は。
あの程度でのさばり勘違いし無力な他人を搾取する。







心を、千切る。









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